湘南ベルマーレの曹貴裁監督(49)は、引き分けながら連敗を3で止めたFC東京戦後の会見で「ロッカーで勝ち点1で満足している選手は誰もいなかった感じ」と試合後の選手の様子を明かした。その上で「このチームを好きだという気持ちで、やるプレーを選択して欲しいし、犠牲的精神ということよりも、自分の所属チームを愛していくのは選手にとって見えない力を生み出す。(それを)違う選手がプレーした時に宿ってくれることを祈っています」と熱っぽく語った。

この日は、控え組中心で戦い、川崎フロンターレに1-3で敗れた22日の天皇杯4回戦からDF坂圭祐(23)MF石原広教(19)、FW小川慶治朗(26)と松田天馬(23)を引き続き先発に起用。シュート数では9対11と東京に劣ったものの、GK秋元陽太を中心に体を張った堅守で東京を完封した。選手の起用意図について聞かれた曹監督は「天皇杯も、もちろん勝つつもりでやった。あの試合が良かったのではなく、その前からテンション高く、チームのためにやってくれていた選手だから使っていきたかった。逆に身体的、精神的に疲労が見える選手は、ベンチに置いたり外した」と説明。「ローテーションという言葉は嫌い。別に、順番にポジションを与えているわけではなくて、熟れごろの選手を使っていかないと…何か冷蔵庫に入りすぎて、もういいよとなっちゃうと、おいしくない。そういうのは見極めているつもり」と、独特の言いまわしで続けた。

曹監督の思いを、選手も感じ取っていた。リーグ戦では7月22日のヴィッセル神戸戦以来6戦、1カ月ぶり3戦目の出場となった石原は「試合前、練習場でミーティングをした時、曹さんから全員に『このチームを好きか?』と聞かれた」と明かした。その上で下部組織からの生え抜きであることを踏まえ「僕は、このチームで育って、育ててもらって今の自分があると思っている。自分のためにと言うよりはチームのために走って、戦うところで貢献しないと自分ではない」と、曹監督の言葉を体現しようとしていることを強調した。

曹監督は、今のチームについて、こう評した。

曹監督 すくすく水をやって、種から育ってヒマワリになっているわけではないですけども、右に行ったり、左に行ったりクネクネしながら、時にはもつれて伸びない時もありますけども、どんな形でも前に、上に進んで行けるチームだと感じた。

その上で、会見の最後に「僕は今のフットボールは、速い展開じゃないと無理…上に行くには。ゆっくりを排除し、気持ちも頭もスピーディー…そういうフットボールをしたいし、うちには、そういう選手もいるし、その最大値としてやってる」と目指すサッカーについて熱く語った。【村上幸将】