28日にカシマスタジアムで、J1鹿島アントラーズとアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)準々決勝第1戦を行う天津権健(中国)は27日に前日会見を行った。その席上、パウロ・ソウザ監督が延々と話し始めた。言葉には、クラブへの皮肉が込められていた。実は来日が27時間も遅れていた。

最初の「抱負」の段階で4分間、マイクを離さなかった。「準々決勝というステージに立てることを非常にうれしく思います」とした上で「このステージに立てることはクラブとしての夢であり、ここに来るまで非常に多くの困難を乗り越えてきた。その中で、昨日は少し移動のところで困難がありました。実は27時間ぐらい遅れて鹿島に来ました。自分がドルトムントで戦っていたときも同じように、ドイツの戦いで移動のところで困難な状況に直面したことがありまして、そのときのことを思い出すなぁという感じでした」。

当初は前日に来日する予定が、中国国内で渋滞に遭い、搭乗予定だった飛行機に乗り遅れ。さらにこの日も飛行機が遅れたという。会見に同席した元ブラジル代表FWアレシャンドレ・パトも「移動自体は非常に厳しいものになりました。とても疲れています。今晩休んで、試合に臨みたい」と苦笑いを浮かべたほど。どうやら、クラブの手配に不備があったようだ。

そして次の質問にも3分半の回答。あまりに長くなり、通訳に「私のパッション(情熱)があふれちゃった」と謝ったほどだった。

「シーズンの始めから私は、1つの夢に向かって走り始めました。ファン、天津の町、選手、スタッフ、みんなが1つになってこの夢を追いかけようというところです。まず、最初のゴールとしては、ACLのグループステージを勝ち上がることで、そのゴールは達成しました。我々の夢は今後もまだ続きます。ここから勝ち上がって、クラブにとって初めてのタイトルをもたらしたいと考えています」

ここまでは前向きな話。だが、再びクラブへの不満が顔を出した。

「その中で、日常的にとても多くの困難にぶち当たることが多々ありました。時に私は、どちらかというと性格的には真っすぐ、前進するタイプの人間なんですが、右に行こうか左にいこうかというような、少し回り道を考えなきゃいけないような状況に陥ることがありました。そういった意味で少し、自分がクラブに対して不満を抱えることもありました」。

それでも、元ポルトガル代表の百戦錬磨の指揮官。頭は対鹿島にある。「今でも私の夢は変わらず、その夢と志を選手たちに引き継いでいると考えています。我々は明日、準々決勝の対戦相手として鹿島とプレーしますが、組織的にも選手においても、経験値においても、我々を上回るチームとの対戦となります。が、自分たちにも、パトを始めとする非常に多くの優秀な選手たちを抱えていて、ゲームを変える力を持つ選手たちがそろっていると考えています。自分たちが第1戦、第2戦と、ファンとともに戦い抜くことを、今は集中して考えています」。

ソウザ監督の返答があまりに長くなったために時間がなくなり、質問は1つだけしか受け付けられなかった。これが策略か、それとも本当に、不平不満という名の情熱がほとばしったのか。答えはひとまず、28日に出る。