前節は、首位サンフレッチェ広島がホームで3位FC東京と1-1で引き分けた一方、2位の川崎フロンターレはホームで名古屋グランパスに3-1で快勝した。川崎Fは26日に、台風12号の影響で延期となった湘南ベルマーレとのアウェー戦に0-0で引き分け、広島との勝ち点差は3に迫った。

また鹿島アントラーズが北海道コンサドーレ札幌に勝ち4位に浮上し、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場権の3位東京に勝ち点1差と迫った。5位セレッソ大阪、6位ベガルタ仙台、7位に転落した札幌が、東京と2差の勝ち点41で並び、ACL出場権争いは混沌(こんとん)としてきた。

上位争い以上に熾烈(しれつ)なのが残留争いだ。最下位のV・ファーレン長崎が仙台に勝って2連勝、勝ち点3差の17位ガンバ大阪が清水エスパルスに勝って3連勝している一方で、柏レイソルは残留を争うサガン鳥栖とホームで1-1で引き分け、3戦未勝利でJ1参入プレーオフ圏の16位に転落。鳥栖とともに自動降格圏のG大阪と勝ち点30で並び、得失点差でも1差しかなくなった。2連敗の名古屋も鳥栖、柏、G大阪と勝ち点1差の14位に転落。その名古屋と1差の勝ち点32で12位横浜F・マリノスと13位湘南が並び、さらに1差の勝ち点33に11位ジュビロ磐田、磐田と勝ち点1差の10位に清水と、勝ち点7の間に9クラブが密集した。

1、2回勝てば、下位から中位、中位から上位に一気に上がる可能性がある波乱の終盤戦の中、今節は上位と下位が当たる試合に注目したい。広島はG大阪とアウェーで対戦する。直近のリーグ戦では2勝1分けと負けていないが、5月9日のルヴァン杯1次リーグではホームで2-3で敗れ、敗退の屈辱を味わわされた。エースのパトリックは28日、鹿島のジーコ・テクニカルディレクターと朝食をともにしたことをツイッターで明かし「今日はこの憧れの人と朝ごはんを食べました。彼の経験を聞いて勉強になりました」とつづった。ブラジル人サッカー選手にとって“神”とも言えるジーコ氏から刺激を受けたパトリックに期待だ。

2位川崎Fはアウェーで長崎と対戦する。公式戦初対決となった7月22日のアウェー戦は、後半22分にエース小林悠が決めて1-0で勝った。ただ湘南戦から中2日と日程が厳しい上に、小林が同戦でPKを失敗しており、そのショックを引きずらないかが気掛かりだ。

ほかにも札幌対鳥栖、横浜対仙台、C大阪対名古屋など上位と下位の対戦があるが、今後の上位、下位争いのカギになると見ているのが8位の浦和レッズがホームで柏と対戦する一戦だ。浦和は前節、MFイニエスタが故障で欠場したヴィッセル神戸にホームで4-0と圧勝し、神戸と入れ替わり9位から8位に浮上した。16日の横浜戦に続く連勝を決めただけでなく、DF槙野智章が「うちが最初から最後までプレッシャーをかけ、ゴールもたくさん決められて0で抑えられた。今年1番のベストゲームと言ってもいいんじゃないか」と手応えを口にしたほど内容も良かった。ACL出場圏3位の東京との勝ち点差は5、4位鹿島とは4、それに続く5位C大阪、6位仙台、7位札幌と3差に迫っており、他の試合の結果次第で浦和に上位浮上の可能性がある。

一方、柏は勝ち点を落とすようなことがあれば、自動降格圏に転落する可能性がある。リーグ戦3戦連続ゴール中で、9日のルヴァン杯準々決勝ヴァンフォーレ甲府戦でも柏を準決勝に導くゴールを決めた、MF瀬川祐輔はアウェー戦に強い。瀬川は浦和戦でチームを救うことが出来るか?