ほぼファーストタッチだった。1-2で水原を追う後半38分、最後3人目の交代選手としてピッチに立ったのは鹿島の西大伍だった。MF遠藤康に代わって右サイドの中盤に入った。その1分後だった。足元へ、DFチョン・スンヒョンから鋭い縦パスが入る。

「もらおうとする位置が良かったかな。相手が、どっちに行くかと迷う場所にいれたので。そこを、スンヒョンも見てくれていた」

相手と入れ替わるように前を向こうとした。流れたボールは、FW鈴木優磨とワンツーの形に。受け取った瞬間、ファーサイドにいるFWセルジーニョが見えた。

「トラップをとりあえず、何でも出来るところに置こうかなと思った。で、置いた後に見えました。良いタイミングだった」

GKとDFの間を通す絶妙な右クロス。セルジーニョの待望の同点ゴールを呼び込んだ。

主戦場として起用される右サイドバック(SB)のポジションでは、内田篤人とターンオーバーのように入れ替わる。ACLの出場は、決勝トーナメント1回戦の上海上港(中国)戦以来だった。

「10分くらいで仕事できるなら、1番いいっすよね。これから、そういうプレーヤーで行こうかな」。報道陣に「年を取ってくるとそれが大事になる?」と言われると「まだ、年取ってないけどね。スターを目指してますんで」と笑わせた。

「大伍は中盤の選手です、あいつは。SBじゃない。あそこでもらえて、ターンできるっていうのは」とは内田の評。子どものころから前線も守備も、全てのポジションをこなしてきた西だからこそ重用され、背番号22はその期待に応えてきた。

鹿島の右サイドは、層が厚い。