北海道コンサドーレ札幌がMF三好康児(21)の決勝弾で、暫定5位からアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場圏内3位に再浮上した。攻め込みながら得点を奪えず、0-0で迎えた後半29分に、4試合ぶりとなるゴールで勝利を引き寄せた。3試合を残して、勝ち点を51まで上積み。クラブのJ1最高順位だった11位(01、17年)を上回る10位以上を確定させ、クラブ初のACL切符も譲らなかった。

三好の4試合ぶりの1発が、札幌を3位に再浮上させた。前半、再三のチャンスを決めきれず迎えた後半29分だった。GKクからのロングボールをFWジェイが頭で落とす。ゴール前でマッチアップしたベガルタ仙台DF板倉と競り合いながら、ペナルティーエリア内へ運び、すかさず左足を振り抜いた。待望の先制点を決めた背番号41は、歓喜する2万4065人のサポーターにMF白井の長女誕生を祝う「ゆりかごダンス」を披露した。チームに勝ち点3をもたらす決勝弾に「全員で勝ち取った勝ち点3。素直にうれしい」と破顔一笑した。

幼なじみとの対戦だった。2連勝を決めた瞬間、三好は板倉のもとへ歩み寄った。笑顔でねぎらいの言葉を交わし、ユニホームを交換後、がっちりと握手した。川崎中野島小5年時に川崎フロンターレのU-12入りしてから、トップ昇格後も一緒に成長してきた仲。今季、それぞれ期限付き移籍したチームで奮闘している。ともにU-21日本代表として東京オリンピックを目指す旧友との試合は「負けられないというのもそうだけど、お互い知り合っている分、けん制のし合いはあった」。勝利の喜び、違うユニホームで戦い抜いた喜びが胸の奥で混在した。

J1の舞台で躍動する2人を、母訓与さんは感慨深げに見守っていた。会場に来られず、ライブ映像で応援。家族ぐるみで親交が深い板倉との対戦に「滉(板倉)は誰とでも仲が良く、康児は誘ってもらうタイプだった」と懐かしんだ。小学6年時のフランス遠征に母親同士も同行するなど、思い出は尽きない。「マッチアップして、ドラマだなと思った。うれしかった」としみじみ話した。

昨季まで所属した川崎Fは初の連覇に王手をかけている。今季札幌の主力に成長した三好は、目の前にあるACL初出場しか見えていない。「このチームのために貢献できれば」。残り3試合、全勝で確定するチームの目標達成へ、全力で突き進む。【保坂果那】

◆札幌ACLの道 勝ち点51で3位の札幌は残り3試合全勝すると勝ち点60で、無条件で3位以上が確定する。2勝1分けだと4日時点で勝ち点49の4位東京、5位鹿島と並ぶ可能性があり、その場合は<1>得失点差<2>総得点差<3>当該チーム間の対戦成績<4>反則ポイント<5>抽選、の順で3位が決まる。