湘南ベルマーレが、浦和レッズに競り勝ち、残留に前進した。今季、浦和から完全移籍したFW梅崎司(31)が前半20分、右足で先制点をゲット。10シーズンプレーした浦和との今季2試合目で、初の“恩返し弾”を決めた。一方、浦和はACL出場圏内の3位が絶望となり、ACL出場権確保のためには、準決勝に進出した天皇杯で優勝するしか道がなくなった。

この日は湘南、浦和ともにフレッシュな顔触れがメンバーリストに名を連ねた。浦和は、司令塔のMF柏木陽介が累積警告で出場停止、DF槙野智章が代表活動中の脳振とう、DFマウリシオとMF青木拓矢が負傷で欠場。DFには、7月に期限付き移籍していたJ2モンテディオ山形から復帰したDF茂木力也(22)が、下部組織からトップチームに昇格して3年で初めて浦和の選手として初出場&初先発した。また、Wウイング沖縄FCから浦和レッズの下部組織に所属し、Jリーグの試合に出場できる2種登録選手のDF大城蛍(18)もベンチ入りした。一方、湘南は、中央大の関東大学2部リーグ優勝に貢献し、21得点で2部得点記録を更新し、加入が内定したFW大橋祐紀(22)が、今季ホーム最終戦で初めてベンチに入った。

前半は、序盤から浦和が巧みなボール回しで湘南を押し込んだ。2分過ぎ、DF森脇良太がゴール右隅にファーストシュートを放ったが、GK秋元陽太に止められた。同15分にはMF長沢和輝の浮き球パスを、FW武藤雄樹がヘッドで合わせたが、枠を外した。

前半20分、湘南が先制した。自陣ゴール前からのクリアボールを、ハーフライン付近にいたFW山■凌吾が頭で左サイドに落とすと、受けた梅崎が約40メートルをドリブルで駆け抜け、森脇と茂木をかわし、右足でゴール右に決めた。梅崎は17年まで10シーズン、プレーした浦和のサポーターの前で過度なゴールセレブレーションはせず、両拳を胸の前で握り締め、静かに喜びをかみしめた。

梅崎は、浦和と初対戦した4月28日のアウェー戦は、かつてのホーム埼玉スタジアムのピッチに後半42分から立ち、ロスタイムの4分を含め7分、プレスをかけ続けた。湘南が1-0で勝ち、浦和からリーグ戦とナビスコ杯(現YBCルヴァンカップ)を含め、ベルマーレ平塚時代の1997年(平9)7月19日のホーム戦以来、20年9カ月、19試合ぶりの白星を挙げた試合後は、自らピッチを1周して浦和サポーターの待つゴール裏に足を運んであいさつし、背番号7のユニホームを掲げるサポーターの姿と大歓声に涙した。それから7カ月で、古巣から待望のゴールを決めた。

後半11分、湘南が追加点を挙げた。中央からの浮き球をペナルティーエリア右でトラップしたMF菊地俊介(27)が、右足でゴール左に決めた。

浦和は後半20分、MF武富孝介に代えてワールドカップ(W杯)ロシア大会オーストラリア代表FWアンドリュー・ナバウトを投入し前への圧力を強めた。すると同32分、武藤のスルーパスをペナルティーエリア左で受けたFW興梠慎三(32)が、DFをかわして左足でゴールを決めて1点を返した。さらに同分、武藤に代えFWズラタンを投入し、3トップ気味になり、さらに湘南を押し込んだ。ただ、後半のロスタイム4分をしのぎきり、湘南がホーム最終戦に勝利した。12月1日にアウェーで、勝ち点40で並ぶ16位の名古屋グランパスと残留をかけて対戦する。

※■は崎の大が立の下の横棒なし