決勝で青森山田が2-0で秋田商を破り、2年連続6度目の優勝を果たした。韓国人留学生MFキム・ヒョンウ(金賢祐=2年)が、前半24分と後半2分に連続得点。全国選手権の優勝メンバーMF檀崎竜孔(3年)らから伝授された、ドリブルの突破力やヘディング力を存分に生かし、新チーム初タイトル奪取に貢献した。3位決定戦は、尚志(福島)が延長の末に2-1で東北学院(宮城)に逆転勝ちした。

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キムが174センチの体を懸命に伸ばしてジャンプした。MF浦川流輝亜(2年)のFKにファーサイドで頭を合わせた。ガッツポーズ直後、ピッチ脇のカメラマンに向けてピースサイン。「本当はハートを作るゴールパフォーマンスを考えていたんですけれど、うれしずぎて忘れちゃった。ピースは今考えるとダサイ。今日は決めたらヒーローだと思っていた」。殊勲弾に笑顔が止まらなかった。

後半もドリブルの勢いが止まらない。「スピードには自信がある。GKとの1対1も冷静にしっかり決められた」。相手DF陣の動きを読んで、こぼれ球を拾って突破し、流し込んだ。選手権を制した檀崎からはファーストタッチからの仕掛け。1トップだったFW佐々木銀士(3年)からは相手と競り勝つ駆け引きを学んできた。「教えてくれた先輩たちにも感謝です。優勝という一番の結果を見せてくれたし、自分たちで連覇したい」と決意した。

中学では韓国の強豪FCソウル下部組織でプレー。世代別代表候補に選出された経験もある。「体も小さかったので海外に出たかった。親が『雪の中で鍛えられるから』と青森山田を薦めてくれました」。入学当初は言葉も文化も分からず戸惑ったが、半年ほどで日本語をマスターした努力家。食事もチーズタッカルビなど故郷のからい食品を買って、仲間と食べている。

結果を出し続け、日本の韓流ブームにも乗るつもりだ。「自分は格好良くはないけれど、女の子が応援してくれるようになったら、そりゃあうれしいです。将来はKリーグかJリーグでプロになって、韓国代表にもなりたい」。“青森山田のヒョン様”は雪中トレも乗り越え、スター街道を走るつもりだ。【鎌田直秀】

青森山田DF藤原優大(1年=選手権優勝メンバーとして攻守で貢献)「2戦連続ゼロで抑えられたことは自信になった。優勝できた中で、課題も多く出たことは雪中トレへの収穫」