鹿島アントラーズのDF内田篤人(30)が主将デビューを果たした。今季主将に就任し、昨季J王者でリーグ戦3連覇を狙う川崎フロンターレとの注目の一戦で今季初先発。声を張り上げチームに活を入れ、1点を追う前半21分には、正確なクロスでFW伊藤翔(30)の公式戦3戦連続となる得点をアシストした。

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主将内田が鹿島に闘魂を注入した。プレーが切れるたび手をたたき、スタンド上部の記者席まで届く声で味方を鼓舞。1点を追う前半21分、センターライン付近でパスを受けると走り込むFW伊藤めがけてアーリークロス。正確なコントロールでゴールを演出した。左腕には黄色いキャプテンマーク。名門鹿島の歴代主将は直近の小笠原氏をはじめ名選手ばかり。常勝軍団を率いる重圧は計り知れない。

開幕前には高卒ルーキーの大型DF関川と4年目のDF町田を比較し「郁万(いくま=関川)の使われ方と、町田の使われ方は違う」と言った。DF昌子が抜けた今季、センターバックは激しいポジション争いが予想されていた。「それを本人が気づいているかは知らないけど、アイツ(町田)はやらなきゃダメ」という言葉には、左利きで190センチと唯一無二の武器をもつ町田への期待とゲキが込められていた。

ドイツ時代に手術した膝の影響で、完璧なコンディションではないが、先頭に立って体を張る。大分との開幕戦に敗れた翌日の練習試合で控え組が躍動した際には「若い選手、100%で動ける体があるならやるべき」と選手たちにさらなる奮起を促していた。若い頃からメディアに注目され、その影響力を熟知しているからこそ、時にはメディアを通してもチームにメッセージを伝え引っ張る。ピッチの外からも大いにチームに影響を与える新主将が、鹿島を引っ張っている。【杉山理紗】