リーグ戦2連覇中の川崎フロンターレが松本山雅を下し、開幕5戦目にしてようやく初勝利を挙げた。沖縄出身で大卒3年目のFW知念慶(24)が1トップで先発し、前半44分にダイビングヘッドで先制点を挙げ、勝利に貢献した。視察した日本代表の森保一監督の前でアピール。大学時代に無名だったFWが王者で輝き始めた。

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知念が開幕4戦未勝利のチームを勢いづけた。FW小林、レアンドロ・ダミアンと各国代表経験のある選手がひしめく中、1トップで起用された。前半44分、DF登里のクロスにダイビングヘッド。ネットを揺らし先制点。「練習から狙い通りの形で取れて、すごくうれしかった」。90分間、前線で体を張ってボールを収め、攻守で奮闘した。

沖縄出身で、高校卒業後は愛知学院大でプレー。エリートとは程遠く、大学時代は週4回、コンビニエンスストアや飲食店などでアルバイトをしていた。「他の人の話を聞くと、みんなサッカーだけに向き合っていたけど、自分は違った」。川崎Fから練習参加の誘いが来た際「試験があるから」と言い訳をつくり2度断った。「プロを目指していなかったし、川崎に行けるレベルでやってなかったですから」と苦笑する。それでも、川崎Fはシュート力や体幹の強さなどFWとしての資質を見抜き、熱心にオファー。プロ入りを決めた。

練習で蹴る、止めるの技術を学び、鬼木監督から求められるハードワークを実戦できるよう、毎日、練習後に20分間走を続け、90分戦い抜くスタミナも強化してきた。視察した森保監督も「もちろん、チェックはしていますし、いいプレーを続けていってくれれば可能性はある」と期待を寄せた。知念は日本代表への思いを問われ「沖縄出身で代表定着した人があまりいない。自分は狙ってはいますけど、全然結果が足りてない。連戦でしっかり結果を出して呼んでもらえるように頑張りたい」とキッパリ。日本代表はFW大迫に続く1トップを模索中。今後も得点を続けることが、代表への道につながりそうだ。【岩田千代巳】

◆知念慶(ちねん・けい) 1995年(平7)3月17日、沖縄県島尻郡生まれ。知念高、愛知学院大を経て17年に川崎Fに加入。17年4月、仙台戦でプロ初出場。同年10月、ルヴァン杯仙台戦でプロ初得点。昨年2月の開幕戦の磐田戦でリーグ初先発。J1通算36試合出場6得点。趣味は釣り、ゴルフ。177センチ、73キロ、血液型O。