期待のルーキーがプロ1号だ。北海道コンサドーレ札幌は4-1で湘南を下し、ルヴァン杯今季初勝利を挙げた。

1-0の前半40分、MF檀崎竜孔(18)が公式戦初ゴールを決めた。ミハイロ・ペトロビッチ監督(61)は大分とのリーグ戦(6日)のスタメン4人を中3日で先発起用。指揮官が勝利への執念を見せた一戦で、新人も期待に応え、チームにとって3月9日リーグ清水戦以来1カ月ぶりの公式戦白星をつかんだ。

6試合で争う1次リーグは、1勝2分けで折り返しとなった。

檀崎がプロ入りして初めての歓喜を味わった。右シャドーとして先発し、1点先制後の前半40分だ。ゴール前でFW鈴木が目線を送った。フリーの檀崎へのパスを選択。送られたボールをトラップすると、右足でゴール左へ流し込んだ。跳ね上がり、雄たけびを上げながら、思いのまま喜びを爆発させた。プロ初得点で初めてのお立ち台は「緊張した」と苦笑い。「武蔵君がいいボールをくれたので感謝しています」と、並んでヒーローインタビューを受けた先輩への感謝の気持ちを口にした。

青森山田で全国高校選手権を制覇し、期待されての入団。その期待がプレッシャーだった。リーグ戦中断期間中の3月26日から両親が札幌を訪れた。年を重ねた愛犬ライス君(11)も連れるため、フェリーで片道14時間をかけて息子の練習風景を見学するために駆けつけた。家族そろって久しぶりにホテル内で食事をしながら悩みを打ち明けた。

「ミシャさん(ペトロビッチ監督)のサッカーは難しい」。父寛之さん(39)が「いっぱいいっぱいになった時にしか相談はしてこない」という檀崎が思わず口にした本音だった。まだリーグ戦には絡めておらず、ルヴァン杯2試合に出場し無得点。本人なりの焦りがあった。すると「新人なんだから、まだ悩む時期じゃないだろ」と、父からかけられたハッパは、この日のプレーでの思い切りの良さを後押しした。

ペトロビッチ監督は気分変えるため、スーツ姿からトレーニングウエア姿でピッチに立った。指揮官が大分戦で先発した4人を「何が何でも勝ちたい思いだった」と、先発起用した試合で、檀崎も1ゴール1アシストで貢献した。「満足せずに取り組んでいきたい。リーグ戦に絡みたい」と、次なる目標はリーグ戦デビューだ。【保坂果那】