八戸学院野辺地西(青森2位)が、2試合連続で全国総体に出場する県1位校を撃破した。21日の1回戦で専大北上(岩手1位)に5-1で大勝。この日は羽黒(山形1位)を延長0-0からのPK戦を5-4で制した。冬の全国選手権に22年連続出場中の青森山田の牙城を崩そうと、オール青森軍団がジャイアントキリングを目指し突き進む。

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八戸学院野辺地西イレブンにとっては、全国舞台に等しかった。PK戦で5人全員が確実に決め、相手の5人目のキックが枠を外れると、喜びを爆発させた。青森県2位が、インターハイ組に連勝する快進撃。DF花田翔主将(3年)は「県1位校に勝てたのはうれしいです。ただ、優勝を目標にしているのでまだまだ喜んでいられない」と浮かれることなく、すぐに気持ちを切り替えた。

日本で一番不運なチームかもしれない。全国総体は20年連続、全国選手権は22年連続で青森山田が出場中。これまでに多くのJリーガーを輩出し、1月の全国選手権で優勝した高校日本一を倒さずして、全国舞台はありえない。壁はとてつもなく高い。三上晃監督(43)は「ずっと山田に敗れてきた我々にとっては、他県の代表とやれるこの大会がインターハイみたいなもの」と意識を高く置く。昨年の選手権予選は1-2と王者を苦しめた。昨年の総体予選は0-6で大敗も、今年は0-2。三上監督も「子どもたちは山田に負けないくらい努力している」と成長を感じている。

全国から逸材が集結する青森山田とは対照的に、全選手が県内出身。三上監督は「青森県人の魂を持って山田に向かっていこう」と、雑草軍団のプライドに期待する。準決勝の相手は岩手3位ながら全国常連の遠野。今大会の青森山田はプレミアリーグを優先し、セカンドチームで臨んでいるがしっかり4強に残った。花田主将は「これだけ力のあるチームと公式戦で戦えるのはすごい経験になる。遠野に勝って決勝で青森山田がくればリベンジしたい」と強い決意を口にした。【野上伸悟】