今夏ジュビロ磐田から加入した横浜FCのMF中村俊輔(41)が、モンテディオ山形戦でJ2初先発を果たした。トップ下に入り、2度の決定機でのシュートやセットプレーのキッカーで存在感を発揮した。山形の堅守を崩せず引き分けたが、チームはJ1自動昇格圏の2位に浮上。FWカズは、4月7日の福岡戦以来、ベンチ入りを果たしたが出番はなかった。

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中村が新天地で輝きを放った。トップ下のMFレアンドロ・ドミンゲスが累積警告による出場停止で、下平監督が「山形にとって嫌なことを考えた」と抜てきしたのが、中村だった。練習ではボランチでのプレーが多く「あまりやってなかった」と話すも、経験豊富なベテランに心配は無用だった。前半2分、MF中山のシュートのこぼれ球に反応しシュート。惜しくもGKの好セーブに阻まれたが、指揮官の期待通り、相手DFの間に立つ絶妙なポジショニングでボールを引き出し両サイドを生かし、セットプレーでも好機を演出した。

中村は前半のシュート場面に「流し込むだけなのに取られて…。ああいうのを決めないと」と反省した。ただ、中村がトップ下でボールを引き出し、ためをつくることで主導権を握った。中村は「前へ行くこと、両サイドの選手を生かすためにどうするか考えた」。被シュート数はわずか3本。指揮官も「かなりチームを引っ張ってくれた」と合格点を与え「欲を言えばセットプレーでアシストして欲しかった」と話した。

上位対決は痛み分けになったが、アウェーで勝ち点1を手にしJ1自動昇格圏の2位に浮上。中村は「勝ち点1で2位に上がって良かった、ではなく、これを勝ちきれなかったことをポジティブに反省すべきところは反省して次につなげられれば」。J1昇格へ向け、頼もしい武器が加わった。【岩田千代巳】