川崎フロンターレ田中碧は、初体験の埼玉スタジアムのサブグラウンドでの前日練習にもリラックスして臨んだ。「新鮮です。なかなかできない貴重な体験をできている」。準々決勝、準決勝はU-22の代表活動で欠場。プロ入り初のルヴァン杯が、いきなり決勝となる見込みだが「チームのみんなに連れてきてもらった。ここで勝てなかったら自分の責任になるという覚悟を持ってやりたい」と力強かった。

持ってる男だ。昨年9月15日、ホーム札幌戦でプロ初出場し初得点。初先発した昨年11月24日の東京戦では初アシストをマークした。日本代表招集歴のある大島、守田ら層の厚い中盤で、今季は「ベンチ入り」を目標に掲げていた。日本代表の森保監督が視察した3月10日の横浜戦で大島の急な離脱で試合直前に先発が決まり、試合開始直後に電光石火の縦パスでアシスト。6月のトゥーロン国際大会でU-22日本代表に選出され、10月には同ブラジル代表から2得点。注目の試合で結果を残してきた。本人は「たまたま」と謙遜だが、頼りになる。

ボール奪取能力に加え、ゴール前に迫力を持って飛び込む動きにも武器。「毎試合1回は得点のチャンスがある。心の中で狙って、それが実行できたら」と意欲を見せる。田中がMVP級の活躍をみせれば、川崎Fのカップ戦初タイトルが見えてくる。【岩田千代巳】