名古屋グランパスが4-0でガンバ大阪を下し、8年ぶり2度目の優勝を飾った。前半からMF榊原杏太とFW村上千歩(ゆきと、ともに18)のゴールで主導権を握り、4度の最多優勝回数を誇るG大阪を圧倒。今夏に初優勝した日本クラブユース選手権に続く日本一で2冠をつかんだ。大会MVPは榊原、得点王は7ゴールの村上が選ばれた。

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名古屋の日本一を決定付ける美しいゴールは、自身の大会得点王も決める価値ある1発だった。FW村上が前半43分、主将のMF田辺からパスを受けて右足でトラップ、持ち替えた左足できれいに流し込んだ。MF榊原のPKによる先制からわずか11分後の追加点だった。

「追加点が欲しい時間帯に、しっかり自分が冷静に決めることができた。得点王は狙っていたのでうれしい」と村上。大会MVPの榊原は、自身が得たPKを振り返り「絶対に決めてやろうと(ゴール前で)仕掛けたからPKにつながった」と喜んだ。

個性が光るメンバーだった。中でもGK三井とともに来季トップ昇格が内定したDF石田は、規格外の右サイドバックに成長した。この日はシュートこそ1本だが、絶妙のクロスを何本も配給。時に前線で勝負を挑み、勝負どころの運動量が光った。

石田は本来はDFだったがFWに転向、再びDFに戻った。今季から与えられた背番号は9。「苦手なサイドハーフのエリアで成長し、活動の領域を広げてほしかった」と古賀聡監督(49)。「いい背番号をもらった」と喜ぶ石田は「右サイドバックから(自分の存在を)世界に発信したい。トップでも先輩に勝ってレギュラーを取りたい」と意気込んだ。

就任2年目、今季途中からトップのコーチも兼任した古賀監督は「名古屋の潜在能力を出せたと思う。途中から出た選手は先発の選手以上に働いた。勝利への貪欲さに欠けていた選手が、頂点を取る決意を固めてシーズンに入ったのが大きかった」。鹿島や広島などでMFとして活躍した指揮官は勝因を分析した。

初優勝した日本クラブユースと合わせ、今季2冠を達成した。残り3試合の高円宮杯U-18プレミアリーグ西地区でも首位を走っており、東地区1位との決勝で日本一になれば究極の3冠だ。古賀監督は「今大会は素晴らしい雰囲気の中で優勝させてもらった。あとは3冠をみんなで成し遂げたい」と断言した。日本代表の中心を担うDF吉田麻也らを輩出した名門クラブ名古屋が、新たな1歩を踏み出した。【横田和幸】

○…Jリーグ原博実副理事長は表彰式でプレゼンターを務めた。決勝の印象は「点数ほど両者の差はなかった。ただ名古屋はゴール前での最後の鋭さがあった」と述べた。両軍へは「ここから大きく伸びていく選手が出てきてほしい。名古屋は石田がおもしろい。G大阪にも個の力がある選手がいた。ぜひ世界に通用する力をつけてほしい」とエールを送った。