来季J1に昇格する横浜FCのFWカズ(三浦知良、52)が3日、新しく完成した「サッカーの聖地」への思いを明かした。下平隆宏監督らと横浜市の林文子市長を表敬訪問し、13年ぶりのJ1昇格を報告。完成した国立競技場について「再びサッカーの聖地にしたい」と話し、自らもピッチに立つことを誓った。国立で数多くのタイトルと得点を手にしてきた日本サッカー界のレジェンドが、新たな歴史に挑む。

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「J1の舞台でまた立つことを目標にしたい」

カズが新たな国立競技場の完成に強い決意を口にした。旧国立競技場は数々の歴史が刻まれた「サッカーの聖地」として知られる。

「前回と同じようにサッカーの聖地といわれるスタジアムに、みんなで積み上げていかないといけないと思います。その一部として関われたら、こんなに幸せなことはない」

カズにとって「国立」は特別な場所だ。初めてピッチに足を踏み入れたのは19歳だった86年(昭61)。キリン杯にブラジル1部パルメイラスの一員として来日し、奥寺康彦(現横浜FC会長)擁するブレーメンと対戦した。93年のJリーグ開幕では、V川崎(現東京V)の先発メンバーとして旧国立競技場で記念すべき開幕戦を戦った。日本代表としても97年のW杯フランス大会1次予選のマカオ戦で歴代最多タイの6得点、同年の最終予選ウズベキスタン戦でも4得点を決めた。Jリーグ、ナビスコ杯、天皇杯、ゼロックス杯とすべての国内タイトルを手にした地で「いい思い出しか残っていない」と振り返る。

最後に旧国立競技場で得点を決めたのは10年9月26日だった。J2第28節の横浜FC対富山(4○1)で、後半29分に直接FKを決めた。43歳7カ月のJ最年長弾(当時)でもちろんカズダンスも披露し観客を沸かせた。カズにとって、12年ぶりの国立ゴールで「次は12年後に入れられたらいい」と当時の報道陣を驚かせた。

クラブとの契約更新は進んでおり、来季は53歳でJ1の舞台に立つ。9年前の国立での“予言”も現実味を帯びてきた。カズは「新国立競技場に自分が立てるかどうか分かりませんが、ぜひ、J1の舞台でまた、立てると信じてやっていければ」と新たな目標を掲げる。今季はリーグ戦出場はわずか3試合、来季はチーム内でさらに激しい競争が待ち受ける。

「どうやったら試合に出て行けるか、自分と向き合いながら一喜一憂せず、1分でも長くピッチに立てるように努力していきたい」

10代のころより、サッカーへの情熱が増していると熱く語る。新たな聖地で再び歴史に名を刻む日を目標に、カズは走り続ける。【岩田千代巳】