静岡学園が、24大会ぶり2度目の頂点に王手をかけた。矢板中央(栃木)に1-0で勝利。鹿島内定のU-18日本代表MF松村優太(3年)が、試合終了間際にPKを決めて決勝ゴールを挙げた。

シュート数は24対2。最後まで攻めの姿勢を貫き、土壇場で相手の堅守をこじ開けた。

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静岡学園が土壇場でゴールをこじ開けた。0-0の後半ロスタイム、右サイドから進入した松村が、エリア内で倒されてPKを獲得。「自分が蹴るつもりだった」。キッカーに志願すると、右足で右隅へ流し込んだ。終了間際の劇的な一撃で決勝進出を果たした。

チームは最後まで自らのスタイルを貫き通した。序盤から圧倒的に攻め込みながらも、4-4-2でブロックを形成する相手の守備に苦戦。ゴールが遠かった。それでも磨き続けてきた個人技とショートパスを駆使して、根気強くチャンスをつくり続けた。

後半、ベンチはFW加納大(はる、2年)、MF草柳祐介(3年)ら攻撃的な選手を立て続けに投入。MF井堀二昭(3年)は「『点を取りに行け』という指示だと思っていた」。90分で決着がつかなければ、即PK戦の大会規定。しかしMF小山尚紀(3年)は「同点のまま終わったら、延長なのかPKか分からなかった。90分で点を取ることしか考えていなかった」と明かした。総力を挙げて攻め続けた結果が、最後のPK奪取につながった。

13日の決勝は、2連覇を狙う青森山田と対する。相手は、先月のU-18プレミアリーグ・ファイナルで、3年ぶり2度目の優勝を果たした高校年代の絶対王者だ。DF阿部健人主将(3年)は「日本トップのチーム」と警戒を強める。その上で「チャレンジャーの気持ちで戦い、全国タイトルを獲得して静岡に帰りたい」。悲願の全国優勝は目前だ。【古地真隆】

◆松村優太(まつむら・ゆうた)2001年(平13)4月13日、大阪・東淀川市生まれ。5歳からサッカーを始める。大阪東淀川FC-静岡学園高。昨年6月にU-18日本代表としてポルトガル遠征に参加。172センチ、63キロ。血液型A。家族は両親と弟3人。

◆静岡県勢の決勝進出 今回の静岡学園で、12大会ぶり21度目。最近は2007年度の藤枝東で、決勝で流通経大柏(千葉)に敗れ、準優勝だった。県勢は過去10度優勝し、最近は、1995年度に鹿児島実と両校優勝の静岡学園。決勝進出が最も多いのは、藤枝東の7度で、62~70年度に4度優勝した。その他の優勝校は、清水商(現清水桜が丘)が3度、清水東、東海大一(現東海大静岡翔洋)、静岡学園が1度ずつ。

◆前回優勝した95年度大会の静岡学園 攻撃力を武器に勝ち上がった。初戦は東山(京都)相手に6-0で白星発進。2回戦も前橋商(群馬)を4-1で退けた。3回戦は元日本代表FW柳沢敦を擁する富山一をPK戦の末に撃破すると、準々決勝は佐賀商に4-1で快勝した。東福岡との準決勝では1年生GKだった南雄太(現横浜FC)がPK戦で相手4人目のキックをセーブして勝利に貢献。鹿児島実との決勝は2点リードを奪うも、後半に2失点。延長戦でも決着がつかず、当時の規定により、大会史上7度目となる両校優勝となった。