サッカー元日本代表のラモス瑠偉氏(63)が、古巣の東京ヴェルディのチームダイレクターに就任することが決まり10日、ラモス氏とクラブの羽生英之社長がクラブハウスで会見した。

東京Vは08年にJ1から降格し、09年からJ2生活が続いている。ラモス氏は昨季、クラブのアドバイザーを務めていたが、羽生社長が「ピッチを見る目は素晴らしい。アドバイザーより踏み込んでチームに関わってもらいたい」と名門復活のために、新ポストでの就任を打診。今季はクラブの強化体制が刷新され、新しい強化担当者を育てる役割も担う予定だ。羽生社長は「永井監督との付き合いも長いので、忌憚(きたん)のない意見をお互いに言える関係でもある」と期待を寄せた。

ラモス氏は「自分はこのクラブをだれよりも愛している。クラブをよくするために足りないのはヴェルディのDNA」と強調。ラモス氏や三浦知良(現横浜FC)らが在籍した強いヴェルディのころを挙げ「私たちおもしろいサッカーやりながらも、戦っていた」と振り返る。

現在の東京Vユース出身の選手は技術は高い一方で、闘う姿勢やハードなトレーニングに耐えうるフィジカルが伴っていない部分がある。ラモス氏は、東京五輪のU-23日本代表にも触れ「森保(監督)がたたかれているけど、見ていると五輪代表に足りてないのは戦う姿勢。育成から甘やかしている」と育成の問題にも言及し、「サッカーは1対1で勝てなかったら、どんな戦術もうまくいくはずかない」と、育成年代から「戦う読売のDNA」を注入する重要性を説いた。続けて「立て直すのでなく、もっと魅力的な昔のヴェルディに少しでも戻せたら」と抱負を語った。

昨年はビーチサッカー日本代表を指揮し、ビーチサッカーワールドカップ(W杯)パラグアイ大会で4位と結果を残したが、既に日本代表監督の契約を満了。今季は、愛するヴェルディのため、頻繁に練習を視察し、試合にも足を運ぶつもりだ。

「10年以上、J2にいるのは気になっていた。すぐ結果を出せるほど甘くはない。2、3年かかるかもしれない。このクラブに何が足りないか、何が必要か話しながら、結果に答えられるようにしたい。できれば来年はJ1に昇格したいが、昇格して翌年落ちたら意味がない。J1上がったときに2度と落ちないようにしないと。そのためには時間が必要」

育成改革を含め「強いヴェルディ」のDNAをよみがえらせるべく、ラモス氏の戦いが始まる。