常葉大が藤枝市役所を3-1で下し、浜松大時代の12年以来、8年ぶり4度目の天皇杯切符をつかんだ。Jリーグ清水エスパルスで長年活躍し、13年に就任した沢登正朗監督(50)は「チャンスで決めきれない課題は残ったが、勝ちきれたことはチームの成長」と、大学名改称後初となる本大会出場を決めた教え子をたたえた。

立役者はFW小松慧(けいと、2年)だった。前半2分に混戦から押し込み、先制点をもたらした。後半1分にもDFの背後に抜け出し、左足で追加点。いずれも「立ち上がり」の得点で、相手の勢いをそいだ。試合前は、憧れの元日本代表FW中山雅史(52=J3沼津)がジュビロ磐田時代の98年に達成した4試合連続ハットトリックの動画を見て奮起。「チームを助けられて良かった」と胸を張った。

本大会では、初戦の2回戦でホンダFCと対戦(来月23日、都田)する。JFL4連覇中で昨年の天皇杯8強の強敵だが、青森山田高で18年度全国選手権を制した小松は「挑戦者として物おじせずに立ち向かいたい」。清水の選手として01年に天皇杯優勝を果たした指揮官も「歴史ある大会に、監督としても出場できることをうれしく思う。出るだけではなく、ジャイアントキリングを起こしたい」と、言葉に力を込めた。【前田和哉】

○…藤枝市役所は、31年ぶりの天皇杯出場を逃した。0-2の前半17分、セットプレーのこぼれ球から1点差としたが、後半1分に決定的な3点目を献上。終盤は運動量も落ち、ゴールが遠かった。創業支援室の職員として勤務するFW高橋祐樹主将(26=藤枝明誠高出)は「失点の時間帯が良くなかった。願ってもないチャンスだったので、何としても天皇杯に出場したかった…」と悔やんだ。

◆今年の天皇杯静岡県代表決定戦 新型コロナウイルス感染症の影響で通常開催が困難となり、当初はJ3の藤枝MYFC対アスルクラロ沼津の一発勝負の予定だった。しかし日程調整がつかず、昨年の東海社会人リーグで県勢最上位の藤枝市役所と、東海学生リーグで県勢最上位の常葉大の対戦になった。ホンダFC(JFL)はアマチュアシードで本大会出場。同準々決勝にJ2とJ3から各1チーム、準決勝にJ1の2チームが出場するため、県勢の清水、磐田、藤枝、沼津の本大会出場の可能性が残されている。