米女子サッカーリーグ(NWSL)のシカゴ・レッドスターズに所属する元日本代表FW永里優季(33)が神奈川県2部の男子チーム「はやぶさイレブン」に期限付き移籍すると、同日(現地時間9日)に所属クラブが発表した。

移籍先クラブも、10日に同様の発表をした。

女子選手による男子チームへの異例の挑戦。幾つかのポイントを日刊スポーツのなでしこ担当記者が取材し、探ってみた。

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◆はやぶさイレブンとは? 永里の地元でもある神奈川県厚木市を拠点とする総合型地域スポーツクラブ「SCDスポーツクラブ」が将来のJリーグ参入を目指して19年に設立した。国内サッカー最高峰のJ1から数えて9つ目のカテゴリーとなる神奈川県社会人3部リーグからスタートし、今季から2部に昇格。“J8”とも表現できる位置にいる。

永里の実兄で、湘南ベルマーレなどでもプレーしたFW永里源気(34)や、元日本代表FW永井雄一郎(41)らが所属。また、今年8月には永里の実妹で16年に現役引退した元日本代表の永里亜紗乃(31)も同クラブのフットゴルフチーム「はやぶさイレブン+F」への加入が発表されている。

◆女子選手は男子チームでプレーできるのか? 神奈川県サッカー協会によると、規約や大会要項に性別に関する記載はなく、女子選手の登録も可能だという。はやぶさイレブンは日本サッカー協会(JFA)の区別する第1種(一般・大学)の社会人チームに分類されるが、過去にも社会人チームに女性が所属した例はあり、永里の試合出場についても「問題ない」という。

◆では、懸念される点は? 一方で上位カテゴリーになると対応は慎重となる。神奈川県サッカーリーグの上に位置する関東サッカーリーグの担当者は「男子と女子ではスピード感の違いなどもあるので、JFAと相談しながら決めていかないといけない」と話した。選手登録はカテゴリーが違えど、JFAで統一されているため可能。しかし、同リーグで女子選手がプレーした例はないといい、フィジカル面での差や危険性なども考慮し、慎重な返答となった。

◆女性の進出は著しいが さらに上位となるアマチュア最高峰の日本フットボールリーグ(JFL)の担当者は「我々の一存では決められない」と関東リーグと同様の見解を示した。

JFLでは19年1月に鈴鹿アンリミテッド(現鈴鹿ポイントゲッターズ)で史上初の女性監督となるスペイン人のミラグロス・マルティネス・ドミンゲス氏が就任。審判でも女性の主審、副審が増えてきているという。

同担当者は「選手となると、JFLで女性がプレーしたことは今までないと思います。体力も違いますし、現時点では何とも言えません」と話すにとどめた。【なでしこジャパン担当=松尾幸之介】