MFアンドレス・イニエスタ(36)の起死回生アシストで、神戸が2-2の執念ドローに持ち込んだ。ホーム東京戦は1点を追う後半ロスタイム、後半途中から6試合ぶりに復帰したイニエスタが、正確なFKでDFダンクレーの同点弾を呼び込んだ。5戦未勝利とはいえ、2試合連続逆転負けの悪夢を回避。主将が復帰した神戸が、次節から反撃に出る。鹿島は2-1で清水に勝って5連勝、清水は24年ぶり6連敗。

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敗色濃厚で迎えた後半ロスタイムに、起死回生の同点ゴールが生まれた。ゴール右サイド、約25メートル離れた位置からイニエスタが右足で直接FKを放つ。ふわりと浮いた正確無比のキックの先に、密集から飛び出した187センチのダンクレーがいた。

「直前にイニエスタと目が合ったので、ボールが私に来ると思った。キックは完璧だった」。今季2点目が殊勲の同点弾になったブラジル人DFは、仲間にただ感謝した。前節川崎F戦(9日)に続く逆転負けは許されなかった。

右足首の負傷でJ1リーグ戦を5試合欠場していたイニエスタが、後半14分から復帰していた。公式戦は3試合ぶりの復帰。だが実戦感覚の問題か、同40分の直接FKも大きく右へ外れ、パスミスも目立った。それでも最後にスーパーキックを温存していた。

フィンク監督は「彼のFKの素晴らしさは分かっていた。ただ100%の状態ではないので、出場は30分以内だと決断していた」と説明。これで5戦未勝利となり、ホームでも6戦未勝利。首位川崎Fと勝ち点21差も開き、指揮官は「現実的には優勝はない」と本音をもらすが、11月に再開されるACLのためにも、イニエスタを中心に再建を目指す。【横田和幸】