“全集中の呼吸”で、残り3節に臨む。浦和の高卒1年目のMF武田英寿(19)は「鬼」の形相で、意気込みを口にした。8日、埼玉・大原での公開練習後、オンライン取材対応。今季は8月5日のルヴァン杯C大阪戦でプロデビューを飾ったが、ここまでリーグ戦出場はなし。大人気漫画「鬼滅の刃」に、はまる19歳。4日に発売された最終23巻も、既に読破した筋金入りのファンは「試合に出ないと分からないこともある。それを感じられたら」。戦いの場へ刃を研ぐ。

少しずつ“強くなれた”気がする。強豪・青森山田時代は前線が主戦場だったが現在はボランチ。不慣れなポジションだが、漫画の世界並みの強力な“キャラクター”が成長を促してくれている。ディフェンスの“柱”の1人であるベテラン阿部には練習中、ポジショニングの修正など金言を授かり肥やしとしてきた。

原作では家族を鬼に惨殺され、妹の禰豆子(ねずこ)を鬼に変えられた主人公・炭治郎が、鬼を討つストーリー。現実世界では武田の敵は鬼ではなく、強力な先輩たちか。今季は1試合もベンチ入りを果たせていない。青木、長沢らとの争いに勝たないと、自身の「型」も表現できない。「自分のユニホームを着て(応援して)いてくれている人もいる。その期待に応えないといけない」と鬼気迫る。猪突(ちょとつ)猛進。修行の日々は続く。【栗田尚樹】