今季限りでの引退を発表したJ2ジェフユナイテッド千葉の元日本代表FW佐藤寿人(38)が26日、オンラインでの引退会見に臨んだ。去就は未定だが、今後も指導者としてサッカーに関わる意向。「『ストライカーを育てることはできない』という言葉を耳にするが、ストライカーはこれからもしっかり育てていくべきだと思います」とJ歴代最多220得点の自身のような点取り屋を育成する意気込みを示した。

佐藤寿の特長はオフ・ザ・ボールの動きやポジショニングの巧みさで相手のマークを外し、一瞬でシュートに持ち込むこと。これは練習から周囲との呼吸が合っていなければできないこと。「(FWは)ゴールを奪わないといけない責任で孤独な部分もありますけど、人の力を借りていかなければいけないポジションでもある。そういう経験も伝えていければ」という。

仲間との連係の中でゴールを決めてきただけに、ベストパートナーについてはサンフレッチェ広島時代の同僚だった青山敏弘を挙げた。「本当に素晴らしいパスを、同じ絵を持ってたくさんトライしてくれた」と涙をにじませながら感謝した。

引退を決めたきっかけは、チームに貢献できていないという思いと、子供たちとの出来事。コロナでリーグが中断している間、高2の長男、中2の次男と公園で体を動かした。ランニングで1番息切れし「『パパも今年で引退だな』って冗談で言われたんですけど、体力的に若い時より落ちてきている。決めなければいけない時期なのかな」と感じたという。

ただ、ユニホームを脱いだ実感はない。「もうすでにサッカーしたいなと思っている。お酒も結局、最終戦後に家に帰って飲んだビール1杯だけ。夕飯では白米ではなく玄米を選んでいる時もある」とニヤリ。指導者としてピッチに戻るのを心待ちにしていた。【千葉修宏】

◆佐藤寿人(さとう・ひさと)1982年(昭57)3月12日、埼玉県生まれ。市原(現千葉)ユースから00年にトップ昇格。C大阪、仙台を経て05年に広島へ移籍。3度のリーグ優勝を経験し、12年にはMVPと得点王を獲得。名古屋を経て19年に千葉へ復帰した。日本代表では国際Aマッチ通算31試合4得点。元千葉MFの勇人氏は双子の兄。170センチ、65キロ。