セレッソ大阪が元日本代表FW大久保嘉人(38)を獲得し、15年ぶりの古巣復帰が決まった。9日に正式発表され、18歳でプロ生活を始めたクラブでの再スタートが決まった。

クラブは昨年の終盤、スペイン人のロティーナ前監督から、ブラジル人のレビークルピ新監督への交代を決断。その理由の1つに「若手育成に主眼を置く」と掲げたため、今年6月に39歳になる大久保の獲得に関しては、正式決定する前から一部サポーターを中心に批判的な意見が多かった。

だが、C大阪は以前からクラブから海外に巣立った選手、クラブからスターへとなった選手にはリスペクトの意味を込めて、最終的に復帰要請する方針を公言している。また、昨年12月にMF香川真司への復帰要請が断られたから、クラブが大久保に方向転換したのでもない。あくまで別の案件として交渉は続けられてきた。

しかも今回、レビークルピ新監督が8年ぶりにC大阪に監督復帰する。ブラジル人指揮官には、ゴール前では選手に自由を与えて勝負させるという哲学があり、大久保はまさに個人技で打開する能力がある。

指揮官から大久保獲得のリクエストがあったわけではなく、あくまでクラブが新監督に適合するFWの戦力と判断して獲得に至った。2人は今回、初対面になる。どんな化学反応を起こすかも期待されている。

大久保も今後の現役生活は1シーズンごとが勝負になる。しかもC大阪では今オフに3年契約を結び直した31歳、主将のMF清武弘嗣を中心にチームは成り立っている。その事情を踏まえた上で、チーム最年長になる大久保は勝負に挑み、自身の経験を後輩に還元していく大切な役目を担う。【横田和幸】