歴史は繰り返されるのか。新たな歴史が生まれるのか。第99回全国高校サッカー選手権は11日に、埼玉スタジアムで決勝を迎える。

勝ち残った2校は山梨学院、青森山田。88回大会と同じ日、同じ組み合わせとなった。前回は初出場の山梨学院が初優勝を飾った。今回はどちらに、軍配が上がるのか。

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10年1月11日。山梨学院・長谷川大監督(47)は、秋田にいた。母校・秋田商の監督として、山梨学院-青森山田の決勝戦をテレビで観戦していた。「山梨学院が勝ってね。純粋にすごいなって思っていました」と振り返る。

同監督は秋田商-中大を卒業後、秋田商の監督として6度の選手権出場を果たした。その後は仙台育英(宮城)、丸岡(福井)などで臨時コーチを務め、縁あって神奈川大の監督に就いた。そこで日本代表FW伊東純也(27=ゲンク)を指導。「彼は普通に走るより、ドリブルした方が速い」と意外なエピソードを披露した。

秋田で始まった指導者の歴史。神奈川大で人脈も広がり、山梨の地にたどり着く。山梨学院大のヘッドコーチに就任し、そこで「あの日の指揮官」に出会った。第88回大会で、山梨学院を初優勝に導いた横森巧監督(78、現総監督)。同氏から「また高校やってみたら」と背中を押され、再び高校サッカーの現場へ戻った。

21年1月11日。あの日から11年。決戦の日も同じであれば、組み合わせも同じ。「本当にまさか。すごい縁ですね。(青森山田は)サッカー選手としても、アスリートとしても能力が高い。セットプレーも脅威。その中で一撃をさすか」と勝機を見いだす。ベンチでは優勝の味を知る総監督が、ドッシリ構える。一体となって、11年ぶり2度目の優勝旗を掲げる。【栗田尚樹】