今季無敗の青森山田が、2大会連続で準優勝に泣いた。公式戦、練習試合と連戦連勝だったが、09年度の決勝で屈した山梨学院に2-2からのPK戦の末に敗戦。0-1の後半12分、J1浦和レッズに加入するDF藤原優大主将(3年)が同点とし、同18分にMF安斎颯馬(3年)が一時逆転も試合を決められず。2大会ぶり「王座奪還」を掲げ、11年前、前回決勝で静岡学園に逆転負けしたリベンジを狙ったが、あと1歩及ばなかった。

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青森山田は2大会連続、僅差の勝負で日本一を逃した。相手の3倍以上となるシュート24本を浴びせたが、同じ2得点にとどまった。選手たちはPK戦が終わると、無念の表情を浮かべた。安斎は泣き崩れ、GK韮沢廉(3年)はひざまずき、しばらく動けなかった。主将の藤原、2年生10番のMF松木玖生(くりゅう、2年)は目に涙を浮かべながらも下を向かず、必死に悔しさを押し殺した。

PK戦に突入すると、先攻の青森山田は藤原が落ち着いて1本目を沈め、相手も難なく成功させた。2人目のキッカーは安斎。ボールを蹴る前に何度か目を閉じ、集中力を高めた。助走をとらずにゴール右隅を狙ったシュートは、中学時代にFC東京U-15深川でチームメートだった山梨学院のGK熊倉匠(3年)に阻まれる。4人目も失敗し、4人全員が成功させた山梨学院に軍配が上がった。

センターバックで全試合先発の藤原は「実力不足だと思うし、悔しい思いをしてから1年、こだわってきたつもりだけど、それはつもりでした。結果が出なければ意味がない、優勝だけ考えて1年生活してきた。悔しさはあるけど、このチームでやってきたことに後悔がないと言ったらおかしいが、自分はやりきったつもりです」。DFながら4得点で攻撃もけん引した。

青森山田中から入学後、すぐに頭角を現し、高校1年時から選手権全15試合に出場。3大会連続ゴールもマークしている。「山田に入っていろいろ学び、欠点をなくせと(黒田)監督に言われ、中学のときの上田コーチから『勝利の神様は細部に宿る』と言われ、その通りの試合だった」。今季浦和に加入するが「もうひとまわり、ふたまわり成長しないと上で活躍できないと感じた。自分に厳しく成長を促していきたい」。藤原ら3年生の思いを受け継ぎ、来年度の100回大会は、三度目の正直で王座奪還に挑む。【山田愛斗】