Jリーグの浦和レッズとオランダのフェイエノールト。2つのクラブの関係性があったからこそ、今回の移籍はスムーズに行われたのだろう。浦和は1日、昨季のノルウェー1部の得点王・FKボーデ/グリムトFWキャスパー・ユンカー(27)を完全移籍で獲得したと発表した。

新型コロナウイルスが、猛威を振るう世の中。徳島ではスペイン人のダニエル・ポヤトス監督(42)や、新加入の外国籍選手が、開幕に間に合わなかった。プロ野球界でも、既に在籍する外国人選手、新たに加入する助っ人も来日できない状況が続いた。そんな時代の中で、浦和の新外国人・ユンカーはスムーズに来日が出来そうだ。この日、オンライン取材に対応した浦和の西野努テクニカルダイレクター(TD、50)は「希望的な観測を含めて4月20日あたりには、浦和に来てもらえたら」と話した。

その背景には、オランダの名門クラブ・フェイエノールトの存在があった。西野TDは「フェイエノールトの協力で、オランダのロッテルダムでメディカルチェックを受け、ビザの申請を行っている。4、5日~1週間で成田へ入り、そこから2週間の隔離」と説明。本来であれば、来日後、隔離した後にメディカルチェックを受け、契約という流れになる。ただ、それではクラブへ加入するタイミングに遅れが生じる。少しでも早い契約を行いたい浦和の考えをくんだフェイエノールトが、快くメディカルチェックを代行した形だ。

浦和と同クラブは19年5月29日から戦略的パートナーシップを結んでいる。西野TDは「選手の私生活、チーム内での状況、他では得られない細かい情報も、共有できる」と、両クラブの良好な関係性を強調した。「向こうも、日本の若い選手の情報などを共有できる」と続けた。簡単に海外を訪れることが出来ない現状。コロナ禍は、情報収集にも制限を掛ける。その中で、日本とオランダの名門クラブは、戦略的パートナーシップを有効活用している。【栗田尚樹】