セレッソ大阪が3試合ぶりの勝利へ、あと数十秒の我慢ができず、1-1ドローに終わった。敵地の神戸戦、1点リードで迎えた後半49分40秒。ロスタイムは5分が表示されており、勝ち点3まであとわずか。敵陣右隅でFW松田力と神戸DF初瀬が競り合い、神戸のゴールキックとなった。

そこから神戸はDF陣らが敵陣に入り、前川のゴールキックを含めて、のべ9人のプレーがつながり、DFフェルマーレンに起死回生の同点ゴールを決められた。

あくまで結果は1-1の引き分けだが、C大阪は勝ち点で2を失ったショックが残った。

記者会見の冒頭で「ロスタイムの失点は、勝利まであと1歩だっただけに、悔しさが残る」と語っていたレビークルピ監督。5人の交代枠のうち、投入したのはFW3人だけ。ベンチにいたDF瀬古を使い、守備固めをする考えがなかったかと聞かれ、珍しく表情をこわばらせた。

「私は監督の仕事をしているので、(外部から)いろんな見方や考え方があるのは承知している。私は、私の信念に基づいて交代枠を使い、しっかり結果を出せると思った。仮にそのような交代をしていれば、1-2で負けていたかもしれない。それは誰にも分からない」

これまで少々、意地悪な質問を受けても受け流すことが多かった指揮官。母国ブラジルで「1700試合以上指揮した」(本人)というプライドが、いつもの陽気な監督の性格を奪い取ったのかもしれない。

8年ぶりにC大阪に復帰した指揮官は今季、開幕7試合の時点で4勝1分け2敗と好スタートを切った。だが、故障者が増え始めた4月以降は2勝3分け3敗。大きな落差ではないが、最近5試合は攻め手が乏しく、複数得点がない。一時は優勝争いしていたが、この試合を終えて8位だ。

守っても2試合前の大阪ダービーでは、後半37分に痛恨の同点PKを許して逃げ切りに失敗している。その前のアビスパ福岡、徳島ヴォルティス戦でも試合終了間際の失点で勝ち点を落としており、試合の締め方は喫緊の課題でもあった。

心配される故障者は、既に復帰したMF坂元、FW高木以外は、MF原川、FW大久保、中島といった主力どころが離脱しており、オーストラリア人のFWタガートも最近2試合連続でベンチを外れている。

現在置かれたチーム状況は、決して悲観するものではない。この日、古巣ヴィッセル神戸との対戦だったDFダンクレーは「サッカーは最後の最後まで何が起こるか分からない。今日、その展開が起きてしまったことは悔しいが、それも含めてサッカーの楽しさ」と、前向きに会見を締めくくった。陽気なチームカラーが長所でもあるC大阪。レビークルピ監督を笑顔にさせる勝利が待たれる。【横田和幸】