アビスパ福岡の守備崩壊が止まらない。

堅守がチームの生命線。だが、完封負けの6月27日浦和レッズ戦も5試合連続で先制され、勢いに乗れなかった。しかも、前半7分に先制された5月30日大分トリニータ戦、前半2分に先制された6月19日ヴィッセル神戸戦に続き、浦和戦も前半11分に失点し、悪夢の今季初3連敗だ。

完敗後、険しい表情でオンライン会見に臨んだ長谷部茂利監督(50)は「注意していた開始早々の失点を防がないと勝利はない。攻撃の質のところも質をひとつふたつ上げていかないと、今日のような相手から簡単に点は取れない」と厳しかった。

この日も、指揮官が「同じことをずっと続けていても変わらない。新たな施策を考えていかないといけない」と悔やむちぐはぐさだった。浦和のビルドアップに対して、強みだった前からのプレスが不発で序盤から攻守に空回り。DF宮大樹(25)は「チームで意図する守備がズレている。小さな歯車が狂い、だんだん大きくなって失点につながっている印象」と話し、FWジョン・マリ(28)は「難しい試合だった。攻撃が単調で、味方との距離が遠かった」と言い、攻守のバランスを欠いた。

選手が危機感を感じるのも無理はない。今季は序盤戦こそ出遅れた。だが、徐々に昨季J2最少失点の堅守をベースに立て直し、一時6連勝するなど快進撃を見せていた。

しかし、リーグ戦も後半に入りシンプルな堅守カウンターが研究され、ほころび始めている。現状打破へ「今までやってきたことプラスアルファで積み上げていかないと変化や成長はない」と長谷部監督。外国人選手8人を擁しJ1屈指の強度はある。だが、チーム戦術や個人のスキル面で正念場を迎えている。【菊川光一】