わずか9秒の速攻で、横浜F・マリノスが流れを引き寄せた。前半41分、GK高丘陽平がバックパスをダイレクトで前線につないだ。ハーフライン付近でこれを受けたDF松原は、FWレオ・セアラにスルーパスを送る。ドリブルでエリア内まで運んで相手DFを引きつけたレオ・セアラは、左に走り込んだFW前田に優しくボールを預けた。高丘のパスから前田が先制点を決めるまで、9秒の出来事だった。

平均走行距離1位のサガン鳥栖に、2位の横浜は苦戦した。走力で相手を上回る試合が多かったが、運動量のある鳥栖相手に自慢のプレスは通用せず、ボールを保持できない時間帯が長かった。それでも一瞬で攻撃の糸口を見つけ、結果4-0と大勝した。強いチームには、一瞬で劣勢をひっくり返す力がある。

マスカット監督は好調の要因について、「1人1人がこのサッカーを信じてやっているのが、強く感じられる」と話す。監督交代後もチームはブレることなく、5勝1分けと結果を積み上げてきた。ついに勝ち点差は1に迫った。28日には、前半戦で3-5と大敗した鹿島とのリベンジマッチが控える。勝つべき相手に勝ってこそ、首位が見えてくる。【杉山理紗】