セレッソ大阪に10年ぶりに復帰した元日本代表MF乾貴士(33)が2日、森島寛晃社長(49)とともに大阪市内でオンラインで加入会見を行った。

冒頭で森島社長は「一段と大きくなって帰ってきてくれた。サッカーにかける情熱、経験、みんなを引っ張っていく力が、クラブもJリーグも引っ張る存在になる。期待しています」とあいさつ。乾は「オファーをいただき、ずっと待っていただき、いいタイミングで加入することができた。心機一転、チームも変わるところで自分も挑戦していければ」と話した。

乾は11年8月に、C大阪から当時ドイツ2部ボーフムへ移籍し、昨季までスペイン1部だったエイバルに所属した。早ければ5日のルヴァン杯準々決勝第2戦G大阪戦(パナスタ)で初戦を迎える。

 

以下は主な一問一答

-10年ぶりに復帰を決めた理由

乾 いつかはこのチームでやりたいと思っていた。JリーグならC大阪。10年間海外にいたがC大阪の試合は常に見ていて、オフも練習に参加していた。このチームが大好きで、タイミングは今ということ。

-C大阪というクラブは

乾 自分がプロになって助けてくれたのがC大阪。そこから海外に行って、サポーターにいいところを見せたいと常に頭にあった。応援してもらっていた自負はあり、そのサポーターの前でプレーしたかった。

-小菊新監督が就任したばかり

乾 小菊さんは、僕が加入した時からずっとコーチで常に優しくアドバイスをくれた。時に厳しく怒ってもくれた。いつか監督と選手として一緒にやりたかったので、うれしかった。小菊さんからは、今のままやってくれれば、みんな付いてきてくれると言われた。

-以前の在籍時からスペインは夢と言っていた。

乾 正直、6シーズンもプレーできるとは思っていなかった。すごく自分の財産。小学校からやりたいと思っていたので、何物にも代えがたい。その経験をC大阪の若手に伝えたい。

-1学年先輩の山下選手がつけていた背番号23に決めた

乾 山ちゃん(現柏DF山下達也)には連絡したが、特に頑張れ、くらいしか言われていない(笑い)。

-古巣の変化は

乾 元気がなくなっているところがある。(自分が在籍した08~11年ごろは)もっと、うるさい選手がいた。元気のある選手がなかなかいないので、自分がなっていければ。

-数字的な目標は

乾 特に考えていない。いいチームを作ること。なかなか難しいところだが、プラス、結果は残していかないといけない。チームで勝てればいい。

-プレーで求められているところは

乾 攻撃的のところはもちろん、守備は甘いところがある。前からいけるところは自分の特長でもある。

-スペインで外国籍選手として活躍できたのは

乾 (エイバルの)メンディリバル監督に認められ、戦術理解度はスペインでは大事にされ、それを理解でき、成長できたところが大きい。

-海外からC大阪に還元できるところは

乾 プロとして、ピッチ上の意識的なところはもちろん、求めたいし、伝えていきたいところはいっぱいある。

-スペインの魅力は

乾 一番はサッカーのIQが高く、それを持った選手が多く、それで点を取れる選手もいっぱいいるので楽しかった。

-C大阪をどんなチームにしたいか

乾 ピッチ上では強く1人1人に求めて、日本の場合は陰口ではないが(直接言わないので)、ピッチ上で言って解決したい。ピッチ外に出れば仲良くしたい。海外でそういう(ピッチではっきり言う)選手を見てきたので、練習から100%でやっていきたい。

-武藤、大迫、酒井宏と同じ時期にJリーグ復帰

乾 オレが最後に決まり、オレが戻ってこなくてもあの3人で十分盛り上がっていた(苦笑い)。

-Jリーグの印象は

乾 昨日も(ルヴァン杯C大阪-G大阪を会場で)見たが、試合のスピードはやはりちょっと遅い、球際がゆるい部分がある。選手はある程度は分かっていると思うので、ちょっとずつ改善しないといけない。

-日本代表復帰は

乾 正直、そこは何も考えていない。C大阪のためにしか頭にない。

-東京パラリンピックのトライアスロンで高校時代にプレーした宇田選手が銀メダルを獲得した

乾 宇田選手がメダルを取る前に(高校時代の)先輩と会って、その話になってメダルはほぼ確実やで、と。それを聞いて、実際に銀メダルだったので、めちゃくちゃうれしかった。刺激はもらったし、競技は違うが、うれしかったですね。地元滋賀県の人がメダルを取るのはうれしい。

◆乾貴士(いぬい・たかし)1988年(昭63)6月2日、滋賀・近江八幡市生まれ。野洲2年時に全国高校選手権優勝、横浜を経て08年6月に当時J2のC大阪へ。10年にJ1復帰を果たし、11年8月に当時ドイツ2部ボーフムに移籍、その後はドイツ1部Eフランクフルト、スペイン1部エイバル、ベティス、アラベス、エイバルに所属。日本代表では18年W杯ロシア大会に出場するなど国際Aマッチ通算36試合6得点、J1通算54試合9得点。169センチ、63キロ。