川崎Fは下部組織育ちの2年目、24年パリ五輪世代のFW宮城天のJ1通算8試合目での初ゴールで、鹿島に逆転勝ちした。1-1の後半49分、宮城は右サイドのペナルティーエリア手前で横パスを受けると、ひと呼吸置いて、思い切り右足を振り抜いた。無回転弾がズドンと刺さる劇的な決勝点で、チームは約2カ月ぶりの公式戦連勝を飾った。「何本かに1回のシュートが打てた。(内容は)課題しかないけど、点を取れたことが今のチームには一番良かった」と、照れくさそうに喜んだ。

ベルギーに移籍した東京五輪代表MF三笘の穴を、すんなり埋めるはずの存在だと思われていた。左ウイングのポジションをMF長谷川と争い、際立ったパフォーマンスを見せていた。しかしチームは20歳に、強力なライバルをあてがった。18日の徳島戦に同位置で初先発した新加入のブラジル人FWマルシーニョは、いきなり実質2アシストの活躍を見せた。

宮城はチームとして新戦力の加入を歓迎しつつも、「自分はライバルなので、スタメン争いで負けたくない気持ちが大きい」と話す。この日は途中出場で得点という結果を残した。若いが「結果で争わないとダメ。内容も改善しつつ、結果によりフィーチャーしたい」と、こだわっている。

鬼木監督も「1発のある選手。ビッグゲームで結果を残したことを自信にしてほしい」と、宮城の活躍に目を細めた。後半38分の同点弾も途中出場のMF山村がファーストタッチで決めるなど、指揮官の采配もピタリ。川崎Fに再加速の兆しが見えてきた。【杉山理紗】

◆宮城天 みやぎ・てん。2001年(平13)6月2日、神奈川県川崎市生まれ。幼少期から川崎Fのスクールでサッカーに親しみ、小4時から下部組織で育つ。トップ昇格1年目の昨季はJ3富山に期限付き移籍して20試合3得点。今季復帰した。176センチ、70キロ。血液型O。父はミャンマー人