湘南ベルマーレが2位横浜F・マリノスに大善戦したが、0-1で敗れた。湘南は横浜の特長を緻密に分析していた。中央を堅く締め、サイドへの守備のスライドも整備されており、横浜に「らしさ」を出させなかった。しかし、横浜は一瞬の隙を逃さなかった。後半21分、途中出場のMF仲川が右サイドラインで湘南DF石原を抜きマイボールにすると、グラウンダーのクロスで決勝点をアシスト。唯一の枠内シュートを決められてしまった。

シュート数は湘南の8本に対し、横浜が4本。横浜は仲川、FW杉本と日本代表経験者を途中投入しており、選手層の差があったのは否めない。だが、前半に決めるべきところを決めていれば、湘南に勝利の女神がほほえんでもおかしくなかった。

実際、SNS上でも他クラブのサポーターが「湘南の試合を90分、はじめて見たけどいい試合しててびっくりした」「この戦力でよくやってる。すごい」と賛辞を贈っている。

前節の川崎フロンターレ戦も先制し、王者を追い詰めたが試合終了間際に逆転弾を浴び、勝ち点を逃した。内容が良くても勝ちきれない-。こんな試合が続いている。

記者が過去に担当した13年のジュビロ磐田、17年の大宮アルディージャも、リーグ戦序盤に内容が良くても勝ちきれない試合が続き、そのままズルズルと勝てずに降格した。やはり、結果なのだ。

湘南の19歳DF畑大雅も勝ちきれないことに危機感を抱く。「勝てなかったら意味がない。いい試合で終わっている現状がまずいと思っている。いい試合で止まっているのは、どうにかしないといけない」と厳しく、単純なクロスだけでなく、シュートや中に進入する部分を突き詰めていく重要性を掲げた。

とはいえ、1位と2位のチームを相手に大善戦したのは事実。横浜戦の先発の平均年齢は24・64歳。将来性豊かな若武者たちが、上位クラブを相手にできる自信をつかんだと同時に、隙をつくったら一瞬でやられる怖さを体感したのは大きい。「勝負の際」の要素は、公式戦でなければ味わえない。この2試合で味わった悔しさをバネに、今の湘南スタイルを貫いていけば、必ず結果が伴ってくるはずだ。【岩田千代巳】