柏レイソルが22日の第33節の浦和レッズ戦で5失点を喫し完敗した。前節の清水エスパルス戦は1-0で競り勝ち、ネルシーニョ監督も「ほぼパーフェクト」と話すほど、内容と結果が伴っていた。今節も勝ち点を重ねるべく、よりアグレッシブに戦う意図を持ち4-4-2の布陣で臨んだが、浦和の方が上手だった。

立ち上がり5分こそ、柏が主導権を握っていたが、浦和は攻守の早い切り替えで、ボールを奪うと縦に速い攻撃を繰り出した。選手間の距離も良く、奪った後のファーストプレーで確実に前へボールを付けていた。柏のプレスは、相手の立ち位置と速いボール回しによって簡単にはがされ、後手後手に回っていた。前半15分も、縦にノープレッシャーでボールを運ばれ失点。そこから立ち直る間もなく、8分間で3失点。その直後に、ネルシーニョ監督はシステムを変更し、手を打ったが時は既に遅かった。

柏といえばネルシーニョ監督が各選手に役割を与え、組織的に戦うチームだ。いい守備からいい攻撃がコンセプトだが、その戦い方を全うしたのは浦和だった。組織的に戦うことは、1カ所で崩れれば、次々と危機が大きくなっていく。だからこそ1対1の個の戦いで負けたり、ミスが続けば当然、勝利から遠ざかる。2失点目、3失点目はクリアが小さくなった故に招いた失点だった。MF戸嶋祥郎は「組織的に守るのは前提として、1人、個人の所でよりタフにやるのがうちのチームのスタイル。そこの1対1で奪いきれなかったことは残念だったし、もっと出来ると思って試合に入ったのですごく悔しい」と振り返った。

浦和には柏の下部組織で育ったDF酒井、山中がいる。2人と同じ柏の下部組織出身のMF仲間隼人はもちろん「負けられない気持ちは常に持っている」と胸の内に熱い思いを秘める。その上で「今日はいい守備が出来なかったが、そこは相手の質が高かったのも認めざるをえない。そこを上回るアグレッシブな守備を見せないといけなかった。そこはもう一度見つめ直してやっていきたい」と完敗を認めた。

ネルシーニョ監督は試合後「非常に恐ろしい結果となってしまった。我々が今週準備してきた形が何一つ機能しなかった」と総括。試合後に各選手には「このような機会を悪く受け止めず、自分自身、何が出来たのか、何が足りなかったかを自問自答する時間に当ててほしい」と前向きな言葉を投げかけた。シーズンはまだ続く。各選手が浦和戦の完敗と向き合い、練習から切り替えて次節の11月3日の名古屋グランパス戦へ向かう。【岩田千代巳】