2連覇に王手をかけた。昨年覇者・学法石川が帝京安積と激闘の末、PK戦を8-7で制し、決勝へ駒を進めた。0-1の後半14分に同点とし、再び1点リードされた後半36分に試合を振り出しに戻し、驚異の粘り強さを発揮した。2-2で迎えたPK戦ではGK池田翔(2年)が2本のシュートを好セーブ。負けの悔しさを知る守護神がチームの窮地を救った。

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GK池田が決勝進出の立役者となった。PK戦は8-7までもつれ込む激闘。勝負が決したのは9人目だった。1本リードで、止めれば勝利が決まる場面。両肩を上げ、ひとつ深い呼吸をして集中し直した。「絶対に止める」。右へ横っ跳び。両手でシュートをはじき返し、駆け寄ってきたメンバーの中心でうれし涙を流した。

「(涙を)こらえ切れなかった。昨年はPK戦で勝ちきれず、あの悔しさを忘れずにやってきたので」

あの悔しさ。池田がそう振り返るのが、初出場した前回の選手権、創成館(長崎)戦だ。池田は試合に出場し、PK戦(3-4)で惜敗。敗戦後はより一層、PK練習に励んだ。朝6時から3年生に強烈なシュートを放ってもらいセーブを繰り返し、コーチ陣からPK戦のコツを伝授してもらった。「今は(PK戦に)自信がある」。公式戦では創成館戦以来のPK戦で、努力の成果を発揮した。

トイレの神様が「学石(がくせき)の守護神」に力を貸した? 福島・南相馬市出身で親元を離れ、寮で生活。身の回りの役割は当番制だが、自ら進んでトイレ掃除を行っている。「トイレには神様がいるというので便器から床まで掃除をします。2本もセーブできたので、運がたまったのかも…」とピカピカの笑顔で声を弾ませた。

尚志との「頂上決戦」を制し、2年連続の全国切符をつかむ。「自分が抑えることができたら勝つと思います」。ゴールを死守し、歓喜の瞬間をもたらす。【佐藤究】