J2アルビレックス新潟の松橋力蔵新監督(53)の就任会見が7日、聖籠町のクラブハウスで行われた。

寺川能人強化部長(47)と会見に臨んだ松橋監督は、「素晴らしいクラブの監督を任せてもらえる感謝と、気が引き締まる思いでいっぱい。自分の力を精いっぱいに発揮したい」とあいさつした。

キリリとした眉とぱっちりとした目。発する言葉は力強い。「目標はJ1昇格!」と断言した。監督就任のオファーには間髪入れずに「やります」と即答した。「選手の顔が頭に浮かんだし自信が湧いた。選手を頼もしく思うし、まだまだ変われる、もっと成長できると感じた」と、長いシーズンをともに戦う選手への愛情と信頼をあらわにした。

1月にJ1横浜F・マリノスからコーチとして加入。今季は試合時にベンチを外れる選手への指導や助言を行うなど、チームを陰で支えた。選手からの信頼は厚く、寺川強化部長も「選手への指示が的確で(頭に)入りやすい。指導力があるので監督をやってもらったら、おもしろくなると思う」と、手腕発揮に期待する。

アルベルト前監督(53)が2年間でチームに植え付けたポゼッションサッカーの継続と「発展」を目指す。パスをつなぐスタイルをベースに「どれだけ前を向いてゴールに迫れるか。単発に終わらず、二次、三次と攻撃で厚みを出したい」。今シーズン悩まされ続けた決定力不足解消については、FWにパスが入った後のサポートの距離やタイミング、連動性アップを強調した。選手の補強については「ワイドな位置で(突破を)仕掛けられる選手が必要」と話した。

チームは2季連続でシーズン中盤戦以降で失速し、昇格を逃した。「日々の生活、姿勢、準備が重要。1つ1つの練習から『勝ち』を意識させたい」。現役時代は攻撃的MFとして横浜や京都、JFLジヤトコでプレー。引退後の02年から指導者としてのキャリアをスタートさせ、04年からは古巣横浜に戻りユース監督やトップチームのコーチを歴任。19年にはJ1制覇にも貢献した。「個の能力と協調性は同時に成長できる。チーム力を高めながら貪欲に勝利を求める」。

趣味は「地球一周分ぐらい走っている」と言うランニングと筋トレ。さまざまな知識を得るために読書も楽しむ。コロナ禍で外出は控えているが、「1度だけ瓢湖(阿賀野市)に行って白鳥を見た。近くの田んぼにもたくさんいて、僕にとっては新鮮だった」とクラブのエンブレムに手をやり笑顔を見せた。

初めてトップチームの監督業に挑む。「勝つため、ゴールを取るためにコレクディブ(組織的)にプレーできるか。選手と追求していきたい」。自信と新境地での楽しみを抱えながら、新潟を導いていく。【小林忠】

◆松橋力蔵(まつはし・りきぞう)1968年(昭43)8月22日生まれ、東京都出身。千葉・市原緑高-日産自動車-横浜-京都-ジヤトコ。02、03年ジヤトココーチ、04~20年は横浜でユースのコーチ・監督、トップチームのヘッドコーチを歴任。21年1月に新潟のコーチに就任。15年S級ライセンス取得。Jリーグ通算44試合出場3得点。JFL通算79試合出場15得点。