あの人の、あの言葉が無ければ…。今季初めて1トップで先発出場した川崎フロンターレFW小林悠(34)が、24日のACL1次リーグの第4戦・ジョホール戦(ジョホールバル)で2得点を挙げ、5-0の快勝に貢献した。

25日、オンライン取材に対応。活躍の裏には、尊敬する先輩の一声があったからという。今季はここまでリーグ戦7戦出場。主戦場の1トップの位置ではなく、サイドでの起用が多い。スタメンは2試合のみ。両試合とも、サイドでの出場だった。ストレス、もどかしさを感じていた時に、クラブOBの中村憲剛氏(41)から電話が来た。

小林 ベテランになって、上がいなくなって、なかなか不満だったり、ストレスを相談できる人が自分もいなかった。『つらいよな』って話をしてくれた。『年齢を重ねることを受け入れちゃ駄目』と言ってくれた。『ベテランだからこそ、抗(あらが)っていかないと、もっとギラギラして、ピッチ入っただけでも、何かやってくれるという目つきが悠のいいところ』と。前半戦は、それがなかった。助言のおかげかなと。

電話が鳴ったのは、ACLの前。「(3月19日)広島戦のちょっと前かな」と言った。

小林 試合に出られていない。出てもサイドでの出場。苦しい時間が続いていた。(中村)憲剛さんは、フロンターレの試合を見てくれている。プレー、出場時間を見てくれていたと思う。本当に絶妙なタイミングで電話をくれた。長電話になった。何ならちょっと泣きそうになった。辛い中でのいいタイミング過ぎる電話。この人、引退しても、気遣いの人なんだなと。自分のことを本当に理解してくれている人と再確認した。

小林は「自分は怒り、不満をパワーに変えられるタイプ。今まではそれを抑えていたというか、ベテランだし、周りのことを考えていた。その中で、ぎらついたりすることを再確認した。あらがっていかないといけない」。大先輩の助言を胸に、闘争心全開でアジアの戦いで存在感を示していく。