今季無敗のJリーグの“先輩”に一撃で土をつけた。いわきFCが福島ユナイテッドFCとの「福島ダービー」を1-0で制した。後半途中出場のFW有田稜(22)が、ヘディングで先制ゴール。その後、逆転を狙う福島の攻撃をチーム全員で阻止し、暫定1位に浮上した。スタジアムには、福島がJリーグ加入後最多となる4501人のサポーターが集結。県全体が注目した一戦で大きな1勝を挙げた。

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絶対にゴールは許さない。1点リードしたいわきは後半終了間際にセットプレーを与えたが、イレブンの思いは1つだった。11人で耐えしのいで試合終了。Jリーグ参入後初の“福島ダービー”で記念すべき1勝。ピッチ中央に向かってあいさつを終えると、激闘を演じた相手と互いをたたえ合った。MF山下優人(25)は「お互いリスペクトしながら、1つのボールを追いかける熱い戦いができた」と振り返った。

勝利を呼び込んだのは一瞬だった。後半34分、コーナーキックで有田は「いいボールが上がってきた。前に入れたので、あとは合わせるだけだった」と頭で先制ゴール。歓喜するサポーターの前を駆け抜け、一目散に仲間の元へ向かった。「多くの方々が来てくれて力になった。感謝の気持ちを持ってプレーしているので恩返しができて良かった」と喜んだ。これまで出場した6試合は全て途中出場。限られた時間で今季3ゴール目を挙げ、起用に応えた。

同県勢対決で意地のぶつかり合いとなった一戦を村主博正監督(45)は「常に奪ってからのカウンターの緊張感が90分間通してあった。カウンターを受けるシーンはあったが、難しい試合の中でセットプレーからよく取ってくれた」と総括。チームを暫定首位に導く貴重な勝ち点「3」を積み上げた選手をたたえた。

決して譲れない「福島の赤」を懸けた一戦はすぐにやってくる。8日に再び天皇杯予選県決勝で福島と対戦。指揮官は「県代表になって上のチームとやることは、選手の成長につながる。明日、明後日を見てファイティングポーズを取る選手をベストで出したい」と気持ちを引き締めた。【相沢孔志】