C大阪が涙の今季ホーム初勝利を挙げた。J2長崎から新加入のMF毎熊晟矢(まいくま・せいや、24)がJ1初ゴールを含む全2得点の活躍で、2-1と磐田に競り勝った。元選手でOBの宮本卓也(みやもと・たくや)さんが、1日に不慮の事故で38歳の若さで亡くなっていたことが、6日発表され、喪章をつけて勝利をささげた。4試合ぶりの勝利を飾ったC大阪は再び上位進出を狙う。

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愛称マイクことC大阪の毎熊が、2分け3敗だった本拠で6度目の正直を果たした。「ホームで本当に勝ちたいと思っていた。自分のゴールで勝てたのがうれしい」。前半32分にDF西尾の折り返しにヘッドで先制し、同40分には右足で直接決めた。毎熊自身もJ1では6試合目の出場で、初ゴールを含む2発で結果を出した。

J2長崎では右サイドバックだった毎熊はDFとして今季加入した。だが、桃山学院大時代までFWだった攻撃力を評価され、2試合連続で攻撃的MFで先発。「ちょっとFWの時代を思い出した」という背番号16は「小菊監督の期待に応えられた」とうなずいた。複数得点は金星を挙げた王者川崎F戦以来、6試合ぶりだった。

この日の試合前、大商大から練習生で06年にC大阪に入団し、ボランチで活躍した宮本さんの訃報が届いた。喪章を巻いて執念の勝利を挙げ、当時コーチとして接した小菊監督は記者会見で泣いた。

「一報を聞いた時は、胸がしめつけられる思いだった。練習生の時から非常に努力して(プロ契約を)勝ち取って…残念に思う…」

現役時代、ともにプレーした森島社長も「(喪章は)クラブの思い。本当に献身的にプレーしてくれた選手だった」。今季から長崎の下部組織でコーチをしていた宮本さんに、毎熊は「(同じ)長崎におられて(勝利を届けたい)共通の思いはあった」という。

MF為田が一発退場したため、残り約25分間を10人で戦ったC大阪。OBの無念を胸に、総力戦で勝ち取った尊い1勝だった。【横田和幸】

◆毎熊晟矢(まいくま・せいや)1997年(平9)10月16日、長崎県生まれ。東福岡時代の15年度に高校総体と高校選手権でFWで全国2冠。桃山学院大を経て20、21年は長崎(J2通算74試合6得点)、今季からC大阪入り。179センチ、69キロ。推定年俸2000万円。