INAC神戸がWEリーグ初代女王に輝いた。引き分け以上で優勝が決まる中、日本代表FW田中美南(28)の2得点などで3-0と快勝した。2位三菱重工浦和は勝ち点38で、残り2試合での逆転の可能性がなくなった。今月4日に広島に敗れるまで16戦無敗。15勝2分け1敗と他を寄せ付けず、優勝賞金2000万円も手にした。

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試合中の硬い表情はほぐれ、歓喜の輪が広がった。神戸が相模原に大勝し、国内初の女子プロサッカーリーグ初代王者となった。

田中が前半9分、GK山下杏のロングパスから一気に駆け上がり、左足で先制。後半25分には右足で追加点をあげた。

「2点目が大事だと思った。みんなを楽にさせてあげたかった」。今季チームトップの9点を挙げたエースは、そう振り返った。

直後の同27分にはMF成宮が左足でダメ押しのゴール。盤石な試合運びで栄冠を勝ち取った。

MF中島主将は「チームとしていい準備をして戦えた結果」とシーズンを振り返る。9年前、澤穂希さんらを擁しての優勝を知るのは中島、FW高瀬副主将だけ。星川監督は「優勝経験がない選手も多い中、1人1人が成長した結果だと思う。すごく長いシーズンを最後までやってくれた」と新たな力の成長を喜んだ。

試合後は9年前を知る高瀬の呼びかけで歓喜の円陣が広がった。「選手達は次のことを考えるためクールだったが、あの一瞬は喜びを分かち合える瞬間。そこが自分は爆発した」。9年ぶりの喜びがあふれた。

 

◆INAC神戸レオネッサ 01年創立。「INAC」はインターナショナル・アスレチック・クラブの略称。「レオネッサ」は雌ライオンを意味し美しく力強さを表す。本拠地はノビエアスタジアム神戸。05年、日本女子サッカーリーグ(当時Lリーグ)へ加盟すると、1年で2部優勝を果たし1部へ昇格。10年度、前日本女子サッカー選手権大会(現皇后杯)で優勝すると、11年度にはリーグ初優勝。リーグ3回、皇后杯6回の優勝経験を誇る。