J2アルビレックス新潟の「KAZU」が登場からわずか6分間で1ゴール1アシストの大活躍だ。ブラウブリッツ秋田を3-0で破る原動力となり、クラブ新記録となるホーム10連勝に導いた。後半41分から途中出場したMFシマブク・カズヨシ(22)は1-0の同45分にプロ初得点を決めて波に乗ると、同ロスタイムには得意のドリブルからMF伊藤涼太郎(24)のダメ押し点を演出した。リーグ後半初戦でしっかり勝ち点3を上積みしたチームは首位をキープ。次節26日は2位横浜FCとアウェーで対戦する。

新潟はまた1人、新星が躍動した。1-0の後半41分からピッチに入った大卒ルーキー、シマブクは同45分、相手GKと1対1になったMF本間至恩(21)の横パスを冷静に流し込んだ。ゴール確信後は、ベンチで待つDF千葉和彦(36)のもとへ猛ダッシュ。「ハーフタイムに(千葉から)父の日だから結果で喜ばせろと言われていた。父には絵文字スタンプ連打でゴールを報告しておきました」。ホーム10連勝を引き寄せた貴重なプロ初得点は父ミゲルさん(52)への最高のプレゼントにもなった。

勢いづいたテクニシャンは止まらない。後半ロスタイム(45+2分)、自陣でボールを拾うとドリブルを開始。背後に迫る大柄な選手を気にすることなくグイグイ加速すると、最後はスコア3-0とするラストパスを伊藤に通した。「背中にしょった相手の走るコースを防ぐことと、(相手の)力を利用することを意識した。最後は相手が2人来たのでパスを選択した」。采配的中の松橋力蔵監督(53)は「(12日の)練習試合でいい動きをしていた。今日も力を発揮してくれた」と2得点に絡んだサイドアタッカーを称賛した。

根っからのサッカー小僧だ。新潟医療福祉大在籍時は練習がオフでも公園に行き、マーカーを置いてドリブル練習に明け暮れた。同大4年の5月末に複数のJクラブの誘いの中から新潟加入を決断。昨年は大学に在籍しながらJリーグに出場できる特別指定選手として2試合に出場した。ただプロ1年目の今季はここまでリーグ戦1試合、天皇杯1試合の出場にとどまっていた。それでも「練習や練習試合で結果を残すことだけを考えてきた。1つ持ち味は出せたことは良かった」。

暑さと、相手の堅い守備に手を焼きながらもチームは今季8度目の完封勝利で首位をキープ。シマブクは「課題のターンやパスの課題に取り組みながら、特長をアピールしたい」と次節、2位横浜FCとの首位対決メンバー入りへ意欲を見せた。【小林忠】

MF島田「苦しい展開が続いた。秋田の戦いからもあるがボールを奪った後のパスのズレがあり、うまく前線に入り込めないところがあった。次節(横浜FC戦)はそれを許してくれない相手なので、自分たちのクオリティーを上げることに集中したい」

MF本間(2アシストに)「最近は状況に合ったプレーを選択できている。(シマブクへのアシストは)自分で行くこともできたが冷静に判断できた。(前半の)先制の場面はうまくチップキックで相手GKの頭の上を越せた」