J2首位のアルビレックス新潟はオフ明けの22日、26日に敵地で迎える2位横浜FCとの直接対決に向けて練習を再開させた。19日のホーム・ブラウブリッツ秋田戦は最終盤にMFシマブク・カズヨシ(22)のプロ初ゴールなどで粘る相手を突き放し3-0で完勝。ホーム連勝をクラブ新の10に伸ばした。だが、松橋力蔵監督(53)に気の緩みは一切ない。この日、練習前のミーティングでは元陸上オリンピック(五輪)代表、為末大氏(44)の著書「限界の正体」の言葉を引用しながら、約1時間、選手に熱いメッセージを送った。

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練習前ミーティングは約1時間に及んだ。松橋監督は「トレーニングの景色を変えようとシーズンをスタートさせた。だが、ここに来て『ここまでだろう』と限界を設定しているように見える瞬間がある。自分たちのスタンダードをもっと上げようと伝えた」。練習も予定より遅れ、スタートは午前11時過ぎ。気温が30度近くまで上昇する中、パス回しや変則的な6対6のミニゲームで選手は実戦さながらの本気モードでボールを追った。

前節の秋田戦は今季8度目の完封勝利で首位をキープした。だがボールを奪った後のパスのズレや、セカンドボールの奪い合いで劣勢に回る場面が目立ち、試合中盤は敵陣に押し込めない展開が続いた。松橋監督は「ベンチサイドから見ていて『もっと出来るだろう?』と思った」と勝ちきった選手をねぎらうと同時に、プレーやメンタル面で物足りなさも感じていた。

日々の成長が勝利につながる。ミーティングでは元陸上選手で五輪に3度出場した為末氏の言葉を引用し、自ら限界を作らないことや心のブレーキを外すことを説いた。「肉体的な部分だけではなく内面的なところ。自分の才能を疑うな、と」。ピッチ上ではいつも以上にベテラン勢に厳しい言葉を投げかけた。「若い選手は年上の態度や動きを観察する。年齢、経験値の高い選手がもっとやらないと。1人の頑張りは次々につながっていく」と全選手に高い目標設定を求める。

26日は2位横浜FCとアウェーで対戦する。ホームでの前回対戦(5月21日)は3-0で完勝も、「同じ展開には絶対ならない。『自分たちが食ってやる』という気迫で臨みたい」と上位対決に視線を向けた。【小林忠】