京都が「40秒弾」で7戦ぶり勝利を飾った。開始直後にMF松田天馬(27)が相手DFを反転でかわして左足で先制弾を決めると、前半9分には豊川雄太(27)が2点目。残留を争う神戸との「関西ダービー」を2-0で制し13位に浮上した。クラブの生みの親でもある名誉会長の稲盛和夫さん(享年90)が他界したことが公になってから初の公式戦。喪章を付けて戦い天国の恩人へ勝利をささげた。G大阪は0-3で鳥栖に完敗し、J2との入れ替え戦に回る16位に後退した。

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京都のベンチに1枚のユニホームが掲げられた。背番号90、名前は「INAMORI」。背中を押され、心は1つになった。黙とうをしてから始まった特別な試合。開始40秒で1万7936人の大観衆が沸いた。ペナルティーエリア内。MF武富からのパスを受けた松田が、相手DFを反転だけでかわし左足で決めた。

電光石火の先制弾。湘南に在籍した20年以来のJ1での得点となった松田は「あれで勢いがついたと思う。本当に(天国に)ささげる、誇りを持てる試合になった」と心から言った。

同9分にも武富のパスから豊川が決めてリードを広げる。魂のこもった戦い。最初の10分間を見ただけで、見えない力が宿っていることが分かるほどだった。

さらに曹貴裁監督はハーフタイムに「俺たちのためだけじゃなく稲盛さんのためにサンガスタイルを見せつけるぞ」とゲキ。最後まで全力で走り抜き、同監督は「我々にとっては忘れられない試合になった。もっとどう猛になれという、そのスイッチがいつも以上に見えた」と選手を褒めた。

残留を争う関西のライバルに今季2連勝。2カ月ぶりの勝利で13位に浮上。天国へ、残り試合も勇敢な姿を見せる。【益子浩一】