2人の対決は毎回、見応えがある。サンフレッチェ広島DF荒木隼人(26)とセレッソ大阪FW加藤陸次樹(むつき、25)。2人は広島ユース時代の1学年差の先輩と後輩。ともに大学経由でプロになり、しのぎを削ってきた。

この日の結果は、広島が後半ロスタイムの2発で劇的な逆転初優勝。C大阪は後半途中、退場者を出したことで防戦一方に。5大会ぶり2度目の優勝は、最後にこぼれ落ちた。

ただし先制点を奪ったのは、広島のバックパスを奪い取って決めた加藤だ。昨年から広島との公式戦は、6試合目で待望の初ゴールになった。

試合後、荒木から加藤に歩み寄ったという。

「ムツキは涙ぐんでいて、もらい泣きをしそうになりました。Jリーグではライバルだけど、ユースの後輩だし、プライベートでも仲がいい。向こうは油断してなくても、スキを突いてくる。今日に関しては(FWとDFの勝負としては)負けました」

荒木は勝者の立場だが、何の嫌みもなく、言葉には加藤へのリスペクトが感じられた。最終ラインの背後を狙う加藤に、荒木はそこに入るクロスにも警戒を続けた。ともに少々のミスにも下を向かなかった。

敗れた加藤は試合後、さすがにショックの様子だった。「悔しいしか言葉は出ない。ゴールを決めたが、勝てなかったから何の意味もない」とコメントした。

両軍の対戦は広島の今季4戦全勝となり、ひとまず勝負付けは終わった。それでも来季、さらに進化する2人の名勝負に期待したい。【横田和幸】