今季で30周年を迎えたJリーグが17日、開幕する。火ぶたを切る一戦は、昨季王者の横浜F・マリノスが2位川崎フロンターレのホームに乗り込む。

直近の6シーズンでタイトルを奪い合ってきた両軍によるいきなりの“頂上決戦”。93年のJリーグ開幕戦でヴェルディ川崎(現東京V)を破った横浜が、節目の年の一戦で再び“川崎”を破り、連覇への好スタートを決めるか。30年前の富士通サッカー部からJ常勝チームとなった川崎Fが、王座奪回への1勝をつかむか。注目の神奈川ダービーから、23年シーズンがいよいよスタートする。

   ◇   ◇

今シーズンを占う一戦から、31年目のJリーグが幕を開ける。王者横浜は昨季、リーグ最多70得点、同最少35失点と攻守で盤石の強さを見せた。その陣容は、今季も中盤から前線はほぼ変わらない。一方で、守備陣はセンターバック(CB)でMVPに輝いたDF岩田、全試合出場のGK高丘が移籍。昨シーズンのような安定感を保てるかが連覇へのカギになる。

期する思いで開幕を迎えるのが、DF畠中槙之輔(27)だ。19年に日本代表に初選出され、国際Aマッチ10試合を経験。21年から背負う背番号「4」は、Jリーグ開幕時に「アジアの壁」と呼ばれた井原正巳が背負い、栗原勇蔵らによって受け継がれてきた。いわば、横浜の守備の象徴といえる番号を担うが、昨季はこれまでの左から右のCBへ挑戦も順応に苦慮。リーグ戦は16試合の出場にとどまった。

チームが優勝した喜びの一方で、自身は「悔しい思いをした」と明かす。同じCBといっても、右と左ではポジションの取り方や体の向きなど異なる部分も多い。地道に練習を重ね、11日の富士フイルム・スーパー杯では右CBとしてチームに安定感をもたらした。

昨季、アウェーの川崎F戦は出番がないまま1-2で敗れている。チームの、そして己の進化を示すにはもってこいの相手だ。「前からプレッシャーをかけてくると思うが、ビルドアップは持ち味でもある。うまくはがして勢いをつけたい」。Jリーグのけん引役となったクラブ同士の開幕戦。無失点に封じ、先頭に立つのは横浜だと示す。【岡崎悠利】

▽横浜マスカット監督(川崎F戦を前に) 川崎Fとはエンターテインメント性の高い試合ができると思う。(選手起用は)我々にはいろいろな選択肢があるので、ベストなものを選びたい。

▽横浜MF水沼(父貴史氏が93年開幕戦に出場) 長い歴史で築いてきたリーグ。今、選手としてピッチに立てるのは幸せなこと。今年もマリノスは強いと示したい。

○…離脱者が相次いでいた右SBに、DF松原が復帰できる見通しとなった。富士フイルム・スーパー杯では本職が不在で、新加入のCB上島が、試合の2日前から準備する緊急事態だった。松原はこの日の練習後「コンディションは完璧。開幕に合わせて調整させてもらったといってもいいくらいなので。出場したらマリノスのサッカーを体現したい」と意気込んだ。

【Jリーグ記者予想】優勝1番人気は鹿島 4人が常勝軍団の復活推し 横浜連覇0人も平均順位首位