浦和レッズFW興梠慎三(36)が、柏レイソル戦で17年連続でのJ1ゴールを決めた。

前半44分に今季初得点を挙げ、MF小笠原満男(鹿島)が99~15年にマークしたJ1記録に並んだ。興梠の先制点で勢いづいたチームは、後半にMFアレックス・シャルク、DF明本考浩が加点して3-0の快勝。4連勝で暫定2位に浮上した。

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36歳の熟練ストライカーが、5バックで固める柏の牙城を崩した。

前半44分。ペナルティーエリア左からMF関根が折り返したボールに、興梠がニアに入り込んだ。ファーにいたDF酒井から「スルー」という声が聞こえたが、「得意な所に持って行けたら決められる」と瞬時に判断。キックフェイントでDFのタイミングを狂わせ、GKの体勢も完全に崩した。後は空いたコースへ左足で蹴り込むだけだった。「左足のシュートは得意としているので自信を持って。貪欲に行かせていただきました」と胸を張った。

初得点は鹿島在籍時の07年6月の大分戦。そこから毎年、J1で得点を刻んできた。鹿島でともにプレーしたMF小笠原と並ぶタイ記録だ。興梠は「(小笠原)満男さんとはポジションが違うので比べてはいけないんですけど」と前置きした上で「鹿島の時から尊敬している人。そういう人と肩を並べることができたのは嬉しい」と振り返った。

今季、札幌から浦和に復帰。第2節まではベンチスタートだったが、チームが初勝利を挙げた第3節のC大阪戦から先発を続ける。そのC大阪戦で、自身が獲得したPKがあったが蹴らなかった。「自分で蹴っても良かったけど、今季の最初のゴールがPKというのは…。やはり自分で決めたい気持ちがあったので」。PKではなく、自身の技で今季1号を刻んだ。

開幕は連敗スタートだったが、今季から指揮を執るスコルジャ監督の戦術が浸透し、変幻自在な攻撃で迫力が増し、4連勝。指揮官は興梠を「浦和の将軍」と評する。若手も多く伸びしろはいっぱい。ベテランと若手がのびのびプレーする浦和が、上位争いに割って入ってきた。【岩田千代巳】