浦和レッズがホームでアルヒラルに1-0で勝利し、2試合合計2-1で優勝を決めた。

後半4分にセットプレーから相手のオウンゴールを誘発し、これが決勝点となった。2017年大会以来となる3度目のアジア王者に輝き、6万人を動員したホーム埼玉スタジアムは歓喜に沸いた。大会MVPには酒井宏樹が選ばれた。

第1戦(4月29日、リヤド)をFW興梠慎三のゴールで1-1で引き分け、優位な状況で第2戦を迎えた。先発メンバーは前回と変えず、GK西川周作、DF酒井宏樹、ホイブラーテン、ショルツ、明本孝浩、MF岩尾憲、伊藤敦樹、小泉佳穂、関根貴大、大久保智明、FW興梠慎三。

前半、アルヒラルの攻勢の前に浦和は我慢の時間が続いた。自陣に押し込まれる時間が続く中、GK西川が堅守を披露した。14分には相手シュートを左へ跳んでセーブ。41分には強烈なミドルシュートを受けるも、今度は右に跳んで右手一本でゴール外へはじき出した。

浦和も前半30分、カウンターから決定機をつくった。右サイドを酒井が突破し、ゴール前へ絶妙のクロスボール。興梠が右足をいっぱいに伸ばし、アウトサイドで合わせた。このシュートはクロスバーを直撃し、惜しくもゴールとはならなかった。

耐えた後に、待ちに待ったゴールが飛び出した。後半3分、敵陣センターサークル付近、中央からのFK。MF岩尾が左サイド奥へと高いボールを入れると、ホイブラーテンが打点の高いへディングでゴール前へ折り返す。飛び込んだ興梠は合わせられなかったが、強風にあおられたボールにGKも触れず。その奥のライン際、クリアを試みた相手選手の足に当たりゴールインした。

後がないアルヒラルの青い波が押し寄せる。赤い岩壁となった浦和は、全員が連動した追い込みで相手の攻撃を封じた。後半28分には左サイドから崩されたが、ホイブラーテンが身をていしてシュートブロック。ボールは保持された中でも、付け入るスキを与えなかった。

守るだけでなく、ボールを奪えば素早いカウンターからアルヒラルゴールに迫った。後半29分には大久保が決定機を迎え、右サイドからシュート。これはゴール上へと外れた。続けて31分には伊藤が強烈なロングシュート。これもわずかにゴールを外れた。

一進一退の攻防が続き、時間は過ぎていく。浦和は最後まで集中力を切らすことなく、一体となって闘った。そして歓喜の瞬間、試合終了のホイッスルを聞いた。

アルヒラルとは、ACL決勝で3度目となる顔合わせだった。17年はFWラファエル・シルバの活躍で優勝を手にし、19年は敵地で0-1、ホームでも0-2と力の差を見せつけられた。この因縁の大一番に向け、選手のためにサポーターが最高の演出を施した。

試合直前、両チーム選手が入場すると、バックスタンドに、ACLのトロフィーの図柄が3つ。3度目の栄冠を後押しした。地元と思われる地図と世界地図が描かれ、「URAWA AIR」と記された飛行機が世界に向かって移動する斬新な演出。チームだけでなく、サポーターも一体となり、まさに浦和ファミリーでつかんだタイトルだった。

興梠は「厳しい試合でした。守って、少ないチャンスで得点できた。なかなか取れないタイトルなんで、うれしいですね」と喜びを噛みしめた。そして最後まで大声援でチームを支えてくれたサポーターに対し、「あなたたちのお陰で優勝できました」と感謝した。

今大会は準決勝までが22年8月に行われ、決勝まで半年以上の期間が空く異例の日程。国内シーズンをまたぎ、ロドリゲス前監督からバトンを受けたスコルジャ監督が指揮をとった。ユンカーや江坂任といった主力が抜け、興梠が復帰。今年1月に発足した新体制での挑戦で、見事にアジア王者の称号を勝ち取った。

▽MF関根(19年の準優勝メンバーは先発出場し試合後に涙)「監督は、このACLのためにメンバーを固定して戦ってきた。それは、これが終わったらメンバーを変えるよという意味。今出ている選手はそこでギアを上げないといけない」