20日開幕のU-20W杯アルゼンチン大会に出場する同日本代表のセレッソ大阪FW北野颯太(18)が、世界舞台で母久美子さん(48)へ贈るゴールを誓った。プロ2年目の18歳が、14日の「母の日」へ素直な思いを打ち明けた。

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北野は母の日に思う言葉を尋ねられると、色紙に「いつもありがとう」と記した。

「僕がプロとして社会人になった今、お金を稼ぐことや、納税のことなど、大人の世界の大変さが分かってきた気がする。両親への感謝はもちろん、特に母には苦労をかけてきた。W杯ではゴール、アシストにこだわりたい」

有田みかんで有名な人口約2万6000人の和歌山・有田市で両親、兄の4人家族で育った。

中学からC大阪ジュニアユースに進む際、母は勤めていた会社を辞め、大阪市内で一緒に生活を始めてくれた。同じタイミングで大阪の高校に進学する兄竣介さん(21)と3人の生活が始まった。父匡崇(まさたか)さん(47)は、会社員のために1人で和歌山に残った。

現在はC大阪の選手寮で暮らす北野だが、昨年まで約5年間は食事など身の回りのことは、すべて母が世話をしてくれた。

「僕のために、両親は買いたい洋服、好きな車に乗ることも我慢していた。お金を自分のために使ってくれていたと思う」

高校3年に進級する直前の昨年2月、C大阪とプロ契約を結んだ。高校生プロとして9試合3得点と大活躍したルヴァン杯では準優勝に輝き、新人賞に相当する「ニューヒーロー賞」を獲得した。その賞金は両親に贈るという。先日は母の誕生日会も兼ねて、焼き肉をごちそうした。

プロ2年目を迎えた今春、大阪・興国高を卒業。通算22試合に出場するJ1での初得点はお預けとなっている。11日に日本を離れ、今はアルゼンチンでU-20W杯の開幕に向けた本格的な調整に入った。

「たくさんのスカウトが来て、本当に素晴らしい大会になる。そこで自分の価値を示したい。自分らしく大会も楽しめたらいい」

代表では背番号10を担う日本のエース。C大阪を代表し、母親のためにもゴールを狙う。1次リーグ初戦は21日のセネガル戦だ。

◆北野颯太(きたの・そうた)2004年(平16)年8月13日、和歌山・有田市生まれ。小4からC大阪ジュニア(U-12)のエリートクラスに入り、ジュニアユース(U-15)、ユース(U-18)に昇格。高1時の20年10月25日にJ3G大阪戦でクラブ史上最年少16歳2カ月で公式戦出場。高校2年だった22年2月に飛び級でプロ契約を結ぶ。各年代で日本代表入り。172センチ、60キロ。