日本代表に初招集されたサンフレッチェ広島MF川村拓夢(23)が、代表活動前、最後のリーグ戦となる川崎フロンターレ戦で持ち味を発揮した。試合は競り負けたが、積極的な攻撃参加や惜しいシュートでチームをけん引。「本当に前半からハードワークできて良かったんですけど、連戦もあってか、やっぱ後半の最後が落ちてしまった」と反省を口にしたが、ダイナミックな攻撃面だけでなく、持ち味の粘り強さでも能力の高さを見せた。

川崎フロンターレの大島僚太、脇坂泰斗、ジョアン・シミッチというリーグ屈指の技術力を備える中盤に対して、無尽蔵のスタミナで走り回り、互角に立ち回った。7日時点のスプリント数(317回)、走行距離(181・211キロ)はともにリーグ5位。シュート数36も同3位にランクインするなど、攻守でのハードワークが光る。所属した広島ユースの合言葉「気持ちには引力がある」を体現するようなプレーだった。

この勢いで、12日から始まる代表活動に臨む。スキッベ監督は「ずる賢く勇敢にプレーしてほしい。彼がJリーグで示したことを森保さんがみてくれれば」と期待を込めた。初選出のハードワーカーは「積極的に背後に飛び出したり、最後のクロスに入っていくところだったり、自分を信じて得点する場所にいたい」と意気込みを明かした。激戦区の中盤でポジションを勝ち取り、代表デビューを飾ってみせる。【佐藤成】

◆川村拓夢(かわむら・たくむ)1999年(平11)8月28日、広島県生まれ。広島ジュニアユース、ユースから18年にトップ昇格。プロ6年目。19年から3年、当時J2の愛媛に期限付き移籍。J1通算33試合6得点(今季17試合3得点)。5月25日発表の日本代表に初選出。183センチ、72キロ。

▽川崎F鬼木監督(川村ら相手の中盤に対して) 2列目からの動き出しが多かったので、ジョアン(シミッチ)とともに大島に下がって対応してもらった。