日本サッカー協会(JFA)審判委員会の報道陣向け説明会「レフェリーブリーフィング」が28日、都内で行われ、19日の柏レイソル戦でヴィッセル神戸MF斉藤未月(24)が大けがを負ったにもかかわらず、ノーファウルの判定だったことに、扇谷健司審判委員会委員長が「我々の見解はレッドカード。正しいジャッジができなかったことを申し訳なく思う」と謝罪した。

斉藤は柏戦の前半、こぼれ球にシュートを打とうと足から突っ込み、左から柏DFジエゴ、右から柏MF戸島のタックルを受けた。判定はノーファウル。だが、斉藤の足が曲がっていたほどのけがで、後日、左膝の関節脱臼、左膝の複合靱帯(じんたい)損傷(前十字靭帯断裂、外側側副靭帯断裂、大腿二頭筋腱付着部断裂、膝窩=しつか=筋腱損傷、内側側副靭帯損傷、後十字靭帯損傷)、内外側半月板損傷と診断され全治約1年の深刻なけがだったことが判明した。

扇谷委員長は、ジエゴの足が上がっている点を指摘しジエゴにレッドカード、戸島はノーファウルの見解を示した。「柏の選手の足が上がっていて、ピッチ上で斉藤選手の足の状況が曲がっている。1つの大きな外的な根拠。VARの映像で接触点はどこか分からないが、複合的に判断しないといけない」とした。

斉藤の足が曲がっている深刻な状況だったが、主審はVARに伝えていなかった。扇谷委員長は「出血がひどい、骨が出ているなど、状況を、主審としてVARに伝えるのは必要だと思います」と述べた。

神戸側は「選手が安心、安全に全力でプレーできる環境整備」が必要不可欠として、日本協会審判員会に意見書を提出していた。扇谷委員長は、神戸には直接、今回のレッドカードの見解を説明したという。

今回、VARが介入しなかったことに、扇谷委員長は「(静止画では)ポイントコンタクトが分からなかった。ただ、それをもってしても、今回に関しては、得られる情報があれば(チェック)できる可能性はあった」とし、ピッチとVARが情報を共有する必要性を挙げた。担当した今村義朗主審は、一定期間の研修を受ける。扇谷委員長は「1つだけお伝えしたいのは、柏の選手もわざとやっているわけではない。結果として大きなダメージを与えてしまった」とし、柏の選手への誹謗(ひぼう)中傷を憂慮していた。