サッカーJ1北海道コンサドーレ札幌の元日本代表MF小野伸二が、背番号と同じ44歳の誕生日を迎えた27日、今季限りで現役引退すると発表した。自身のインスタグラムで表明した。FIFAワールドカップ(W杯)に日本史上最年少の18歳272日で初出場。以後3大会連続で大舞台に立った天才が、プロサッカー選手としては第一線から退く。

今季J1最年長選手の小野は、足首や膝などの痛みで別メニューで調整する時間が長く、公式戦出場は天皇杯2試合にとどまっていた。

一方で、かつて「僕はサッカーが好き。チームが契約してくれる限りサッカーをやり続けたい」と、現役へのこだわりを話していたことがある。札幌では精神的支柱。本人が来季も現役続行を希望すれば、まだユニホームを脱ぐことはなかったが、引き際を悟った。

自らの言葉で最初にファン・サポーターに報告したい意向が強く、クラブの正式発表に先んじてSNSに思いをつづった。

「皆さまに、ご報告があります。サッカーと出会い39年間もの間、僕の相棒として戦ってくれた“足”がそろそろ休ませてくれと言うので、今シーズンを最後に、プロサッカー選手としての歩みを止めることを決めました。まだシーズン残り数試合ありますが、僕も試合に少しでも関われるように変わらず良い準備をしていきます。最後まで応援よろしくお願いします。小野伸二」

1979年(昭54)生まれの「黄金世代」を代表する、顔と言える選手。清水商(現・清水桜が丘)から浦和レッズ入りしたプロ1年目の98年、W杯フランス大会1次リーグ第3戦ジャマイカ戦に18歳272日で初出場を果たした。W杯日本代表史上最年少の出場記録は、いまだ破られていない。

01年にオランダ1部フェイエノールトに移籍し、翌02年に日本人初の欧州タイトルとなるUEFAカップ制覇を経験。浦和復帰後の06年はJ1リーグと天皇杯の2冠に貢献。ドイツ1部ボーフムやオーストラリア1部ウエスタンシドニーでもプレーした。14年に加入した札幌ではキャリア最長の計9シーズン目に入っていた。

けがで試合出場の機会こそ減ったが、類い希な技術は健在。練習では、足にボールが吸い付くトラップ1つで見学者を魅了する。世界が才能を認めた「天才」のプロサッカー選手人生は26年目で区切りを迎え、新たなステージへ入る。

今季最終節は12月3日。プロ生活を始めた古巣浦和戦で最後の花道を飾るつもりだ。

◆小野伸二(おの・しんじ)1979年(昭54)9月27日、静岡県沼津市生まれ。清水商高から98年に浦和入り。99年ワールドユース(現U-20W杯)ナイジェリア大会では、日本男子のFIFA主催大会で当時最高位となる準優勝に主将として貢献し「黄金世代」と呼ばれた。A代表では01年のコンフェデレーションズ杯でも準優勝。大会後、フェイエノールト移籍。06年に浦和へ復帰し、J1と天皇杯の2冠に尽力した。08年ボーフム、10年清水エスパルス、12年ウエスタンシドニー、14年札幌、19年にFC琉球移籍も21年に札幌へ復帰。W杯は98、02、06年の3大会出場。国際Aマッチ通算56試合6得点。J通算292試合38得点(J1通算206試合29得点)。175センチ、75キロ。家族は夫人と2女。血液型O。

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